PostScriptイベント後記

交流会

公開日:2020/09/29

「完璧でなくてもいい、まず打席に立つことが大事」 お笑いジャーナリスト・たかまつななさんに聞く、人生を切り開く方法

開催エリア:オンライン

イベント概要

イベント名 お笑いジャーナリスト、たかまつななさんに聞く!「フリーランスと会社員の違い〜私が会社を退職した理由〜。若者こそ知るべき、政治と社会問題」
日程 2020/08/20

2020年8月20日、デジタルハリウッド校友会の公式Facebookグループ初のオンラインイベント『お笑いジャーナリスト・たかまつななさんに聞く!フリーランスと会社員の違い~私が会社を退職した理由から。若者こそが知るべき、政治と社会問題』が開催されました。

登壇したのは、お笑いタレントとしての活動に加え、起業やYouTuber活動など幅広く活躍するお笑いジャーナリストのたかまつななさんです。

サッカー選手になりたかった子ども時代から一転。小学校6年生から突然、フェリス女学院中学校を目指します。入学後は読売新聞の子ども記者活動をする傍ら、中学3年生からアマチュアお笑い芸人として活動を始めました。慶應義塾大学卒業後は、慶応大学大学院へ進み、在学中に起業。さらに大学院卒業後は、NHKへと就職し『おはよう日本』のニュースや企画を担当されていました。

2020年7月にNHKを退職され、現在はお笑いジャーナリストとして活躍されています。自らのやるべきことを見据え、生き方を模索してきたたかまつななさんの姿から、コロナ禍以降のクリエーターの生き抜くヒントが見えてきました。

打席に立つための「退職」という選択

学生時代の記者活動を通じて、政治や社会問題への興味を育まれてきたたかまつさん。18歳から選挙権が持てるようになったことをきっかけに、「若者と政治の距離を縮めるために」と考え、大学院生時代に株式会社笑下村塾を設立します。

自ら会社を立ち上げながらも、なぜNHKを就職先に選び、その後退職することになったのでしょうか。

「若者に政治を身近に感じる番組を作りたいという思いと、永田町や霞ヶ関の論理を知り、いつどう報じれば有意義な政策論争をおこせるのか考えるために、 NHKに入局しました。ニュースや8分枠の企画などを担当していたのですが、私がやりたいことを実現するのに、組織の一員という立場では、10年20年かかると気づいたのが退職理由のひとつです。20年後だと47歳……そのとき、10代の気持ちがわかるか、自信が持てませんでした」

ほかに、副業が認められなくなったことも退職の一因に。コロナ禍の中で、本当に自分のやりたいことに取り組むことを優先したそうです。

「ゆっくり時間をかければ、完璧なものができるかもしれません。でも今完璧じゃなくても、すぐに(やりたいことを)やろうと決めました。クリエイティブをやるためには、まずは打席に立つことが重要だと感じたからです」

NHK退職後は、YouTubeチャンネルを更に力をいれて更新したり、noteの執筆、TVやラジオなどメディアへの出演、お笑い芸人としてのライブ出演など、様々な場所で活動されています。とくにYouTubeなど、たかまつさんが主体となって配信するメディアは、コロナ禍をきっかけに注目が高まりました。

「時事性のあるものを発信できるだけでなく、無料のアーカイブとして長く残せるという点がYouTubeのメリットだと感じています」

今はいじめ問題について、お笑い芸人などの著名人にインタビューをする動画企画を進められています。

「時間をかけて著名人100人くらいを集めたいです。現在4人の方にお話を聞いたのですが、全員の体験が異なります。取り上げる体験が多いほど、視聴者が近い体験をしていると思えて共感が増えるかもしれないし、それによって救われる人もいるのではないでしょうか」

▼動画のリンクはこちら
#元いじめられっ子から今いじめられている君へ

仲間を集め持続可能な新しいメディアを作りたい

学生時代から一貫して社会問題へ取り組み続けているたかまつさんは「社会問題を解決するYouTube番組を作りたい!」という思いのもと、Good Morning(グッドモーニング)というクラウドファンディングのプラットフォームを活用し、支援を募集されました(2020年9月15日に終了)。

このクラウドファンディングを始めようと思ったのは、NHK職員時代に感じたことがきっかけだと、たかまつさんは話します。

「NHKのニュースでは、現状について報じるにとどまることが多いです。取材者は解決策を探るはずなので、本来はそこまで報じる必要があるのではと感じていました」

学生時代の活動で数多くの講演や出張授業を行う中で、その場で伝えることができても、継続して伝え続けることができずジレンマを抱えていたたかまつさん。

「YouTubeでは持続可能な新しいメディアを作りたいと考えています。デジタルハリウッド大学の卒業生の方はいろいろな技術もお持ちですし、本気で変えていきたいと思っている方々と一緒に作っていけたらいいですね

この取り組みに対して、イベント開催中、参加者からもリアルタイムで「私も参加したい!」という声があがっており、多くの共感を得ながらプロジェクトが進んでいることを感じさせました。

「会社化」は業界への新規参入者を増やすため

フリーランスで働く中で、会社化を考えたり必要に迫られたりすることは決して珍しくありません。あえて会社化しないことを選択する人もいます。たかまつさんはなぜ、ご自身の活動を会社化することを選んだのでしょうか。

「立ち上げる形態はNPOなど様々な選択肢がありました。ただ同じような取り組みをされてきたところをみるとお金につながっていない、という問題があったのです。もうからないとなると、この業界に新規参入する人が増えず、市場も広がっていきません。株式会社にすることで、ちゃんとお金ももうかるし、貢献もできるという姿を示したかったのですが……」

軌道にのりかけた先にコロナ禍がやってきてしまいます。もちろん、たかまつさんの会社も大きな打撃を受けました。

「NHKは私がいなくてもびくともしないし、コロナ禍でも存続し続けます。でも、自分の会社は私がいなくなれば衰退します。全国規模で主権者教育を行うのは弊社だけです。弊社がなくなれば、日本の主権者教育がなくなります。そう思うと、こういった逆境の中でも頑張る力につながるんです」

手段にとらわれず「やりいこと」「楽しさ」を指針に

とはいえ、ひとつのことに取り組み続けるというのは容易ではありません。

「紆余曲折あっていいと思っています。ただ、手段が目的になってしまうと、自分が何をやりたいのか迷い始めてしまうので、何をやりたくて、楽しさがあるのかを知ることも大切です。また、自分はそうなのですが、やり方にはこだわらずに手段をどんどん変えていくこともひとつの方法です。これという正解はないと思うので、いろいろ試すことで見えてくることもあると思います」

それでも行き詰まったときは、まわりに助けてもらうことも大事だと言います。

「私自身もクラウドファンディングも人が足りないときも『助けて』といって、助けてもらっています。クリエイティブは孤独だからこそ、まわりの手も借りて前に進むことも大切だと考えています」

あの手この手と、方法を変え、人の力を借りながらも目的のためにまい進し続けるたかまつさんの考えに触発された方も多かったのか、イベント中多くの質問や共感のコメントが寄せられていました。盛り上がりを見せた中、1時間という短い時間でしたが初めてのデジタルハリウッド校友会Facebookグループのオンラインイベントは無事に終了しました。

これからも、デジタルハリウッド校友会Facebookグループでは定期的に、各界のプロフェッショナルや著名人の方をゲストにお呼びしたオンラインイベントを開催していく予定です。イベントへの参加はFacebookグループへの参加が条件となっていますので、ぜひ下のリンクから参加の申請をしてみてください!

▼デジタルハリウッド校友会Facebookグループのリンクはこちら
https://www.facebook.com/groups/digitalhollywood.alumni

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