Interviewインタビュー

No.34

公開日:2021/04/09 

原体験はデジタルハリウッドに-現在まで続く、刺激と学びに満ちたWebエンジニアのものづくり

エンジニアデザイナー デジタルハリウッド大阪本校

No.34

株式会社サイバーエージェント エンジニア
谷拓樹さん(デジタルハリウッド大阪本校 修了)

(※このインタビューは、2021年2月当時の内容です。)

ウェブ業界を目指したきっかけは友人からのバナー依頼

Q
ウェブ業界を目指そうと思われたきっかけは何ですか?
A
きっかけは、大学時代に知り合いに頼まれてFlashバナーを有料で作ったことです。大学ではウェブを専門的に学んでいたわけではありませんが、趣味でウェブサイトを作っていました。
それで知り合いが、バナー制作の仕事を依頼してくれたんです。稼げたのはお小遣い程度の金額でしたが、「あ、こういうのが仕事になるんだ」と気づいて、そこからウェブ業界を本格的に目指そうと思いました。
Q
就活はウェブ業界を中心にされていたんですか?
A
インターネット広告業界の会社にも応募していましたが、他の業界の会社も検討していましたね。当時は、今後どういうキャリアを築いていきたいのかが漠然としていました。模索している中で、ネットや雑誌などで見かけて知ったのがデジタルハリウッドだったんです。
ウェブとは全く関係のない会社から内定をいただいてましたが、最終的にはデジタルハリウッドに行くことに決めました。今思うと明確な理由はなくて、ウェブ業界で働きたいという衝動に駆られたんだと思います。
Q
デジタルハリウッドに入ってみていかがでしたか?
A
Webデザイナー専攻コースで、はじめはPhotoshopの使い方など基本的なことを学んでいました。ツールの使い方を学んでからは、実際にプロジェクトを動かすようなOJTにチームで取り組んでいきましたね。

本を出版し、会社を立ち上げた

Q
デジタルハリウッド大阪本校修了後はどのような道を進まれたんですか?
A
同期の何人かとチームを組んで、フリーランスとして活動していくことにしました。半年ほどは活動していましたが、それだけで食べていくことは難しかったです。

そこからどこかの会社に入ろうと思い、EC studio(現:Chatwork株式会社)に入社しました。当時EC studioは立ち上がったばかりのベンチャー企業で、今で言うところのフロントエンドエンジニアがおらず、自分が担当することになったんです。インターフェースの実装だけではなく、デザインやSEOコンサル、カスタマーサポートなど、様々な業務を経験しましたね。

会社では主にtoB向けの自社サービスをやっていたのですが、5年から6年働いたときに、受託開発の仕事をやりたいなと思い始めたんです。それで会社を辞めて、独立してまたフリーランスでやっていこうと思いました。

Q
以前フリーランスから就職を選んだ際は「食べていけない」という理由からでした。再びフリーランスに戻ってみてその点はどうでしたか?
A
食べていくことはできましたね。というのも、EC studioを辞める前に『HTML5+CSS3で作る魅せるiPhoneサイト』という本を出版したことがきっかけで、受託の依頼がたくさんきていたんです。

本を出版できたのは、会社内のデザインチームで技術をまとめるブログを書いていたおかげでした。はてブでバズった記事がいくつかあり、それをある編集者の方が見て声をかけてくださったんです。

それでネームバリューができたので、受託の仕事だけではなく、雑誌で連載を持たせてもらったり、イベントに登壇させてもらったりもしましたね。

Q
出版をきっかけに、順調に滑り出せたんですね。
A
順調でしたね。ただ1年もやりませんでした。というのもイベントで知り合った友人・土屋と一緒に株式会社グッドパッチを立ち上げることになったからです。この頃にそれまで大阪で働いていましたが、会社の拠点を東京にすることになったので、東京に引っ越しました。

立ち上げに参画した動機は、代表の土屋とサンフランシスコでコワーキングスペースを視察したときに、コワーキングスペース事業をやろう!ということになり、僕の「場作りへの関心」とマッチしたからです。なので当時は今のようなデザイン・エージェンシーではなく、コワーキングスペースを主軸にしようとしてました。

もちろん立ち上げたばかりだったので、お金を作るという意味で受託の仕事も受けていましたが……。

場作りに関わる事業をやりたかった

Q
場作りに興味があったんですね。
A
そうですね。EC Studioにいるときに、場作りに対する関心が生まれ始めたと思います。当時大阪では東京と比べるとコミュニティやイベントが全然ありませんでした。それで知り合い2人とぼくの3人で、「Re:Creator’s Kansai」というコミュニティを作りました。

ゲストを呼んで講演会をしたり、交流会や勉強会をしたり、関西のクリエイターが繋がれる場を作っていったんです。その経験をしてからは場作りには関心がずっとありましたね。

Q
実際に昔からやりたかったコワーキングスペース事業をやってみていかがでしたか?
A
長くは続かなかったです。コワーキングスペース事業をメインでやっていくつもりでしたが、途中からピボットしていくことになりました。
会社を成り立たせていくためにも、受託の仕事をどんどん受けて、そちらが忙しくなっていったんです。ぼくはコワーキングスペース事業をやるためにグッドパッチにいたので、代表の土屋に相談し、会社がピボットしていくことになったところで転職することにしました。
Q
次はどういう会社に転職されたんですか?
A
次は株式会社サイバーエージェントに入社しました。グッドパッチを辞めたときにTwitterで尊敬していた人と飲みにいく機会があって、そこで当時彼が勤めていたサイバーエージェントでフロントエンドエンジニアを募集しているという話を聞きました。
Q
ベンチャーから大企業への転職は大きな転換だと思います。どんな思いがあったんですか?
A
それまではフリーランス、ベンチャー企業、起業というキャリアで、少人数での開発経験がほとんどでした。そこで大企業で、たくさんの人と協力してチームプレイでやっていく経験を積みたいと思い、サイバーエージェントに行くことにしました。

入社してからは、色々なプロジェクトがどんどん立ち上がって、それをチームでこなしていきました。チームの中では主にフロントエンジニアの役割をしていて、技術を磨いて、自分の武器を作っていった期間だったと思います。

Q
そこからまた転職をされるんですよね?
A
そうです。サイバーエージェントは3年ほどいて、そのあと株式会社ツクルバへ転職しました。大企業でサービス作りの経験を積んでいく中で、やっぱり場作りをやりたいと思ったんです。それで求人サイトなどを見ていたときに、ツクルバの求人をたまたま見かけました。

コワーキングスペース事業をやっている会社だということは元々知っていて、興味があったんです。以前自分がやっていたコワーキングスペース事業は途中でピボットしてしまって、やり切れなかったという思いがあったので、ここに関わりたいと思いました。それで担当者の方に想いを込めたメッセージを送り、入社することができたんです。

腰を据えた働き方がしたいと思った

Q
再び場作りをやることになったんですね。
A
そうですね。ツクルバでは新規事業のプラットフォームの開発を主にやっていました。立ち上げ段階で人数もそれほど多くなく、スモールチームで動いていましたね。みんなでやれることはなんでもやろうという熱い思いを持ってやっていたので、今思うとすごくエモい時期だったなと感じています。
Q
大小規模の経験を経て、再びやりたいと思い続けていた「場作り」に戻ってきたというのはドラマチックだな、と思います。
A
でも、2年で辞めてしまったんです。これは自分の思考の癖だと思うのですが、会社として成長している中で、「この会社が次の段階にいくまでには2,3年は必要」と自分の中で考えたときに、それを遂げて続けていくか、もう一度何か違うチャンスがあるかを考えはじめてしまいました。変な例え方をすると、好きだけど、本当にこの人と結婚していいのだろうかという感じというか……。
Q
人生を添い遂げる対象になるのかどうかということですよね?
A
そうですね。それで辞めることをまず決断したんです。次のキャリアはどうしようかと悩んでいるときに、サイバーエージェントの元同僚と一緒にご飯を食べにいく機会がありました。そこで話をしていて、サイバーエージェントに戻ろうかなと思い始めたんです。

ツクルバに在籍しているときに、マンションを買ったり、ペットを買ったりして、家で過ごす時間を大切にしたいと感じていました。それでサイバーエージェントなら、腰を据えた働き方ができると思い、戻ることを決めました。

Q
人生軸で考えての意思決定をされたんですね。サイバーエージェントに戻って現在も働いていると思いますが、どのように感じていますか?
A
サイバーエージェントはやっぱり特殊だなと思います。古巣に戻るという選択で、チャレンジできていないのでは?と感じる部分もあったのですが、その考えは払拭されていきました。

サイバーエージェントはメガベンチャーと言われるぐらい、開発スタイルはベンチャーに近いです。そのため開発者への裁量も比較的多く、チャレンジできていますね。今はフロントエンド開発に限らず、UI設計やUX設計などを中心に、いろんなプロジェクトに横断的に関わっています。

デジタルハリウッドの経験が原体験

Q
これまでのキャリアを振り返ってみてどう思いますか?
A
デジタルハリウッドにいたときに、OJTでチームでウェブ開発の経験をしたことは今のキャリアを決める上で大きな出来事だったと思います。ただ技術スキルを身につけるだけだったら、自分がそこそこに満足したものを作って飽きてしまいそうですが、チームでものづくりをすることだけは常に刺激や学びを得られてずっとやり続けています。またチームで動くことなら他の業態でもできると思いますが、ウェブからは離れていません。

デジタルハリウッドでチームでウェブサービスに関わり、ものを作る楽しさや難しさを知ることができたから、現在もやり続けているのだと思います。

Q
チームでウェブサービスに関わるものをつくり続けることにはこだわりを持たれているんですね。
A
そうですね、飽き性でもあり、凝り性でもあるので。ウェブサービスに関わるものをつくることが根本にあって、そこから外れないようにキャリアを積んできました。
人との繋がりから生まれたきっかけを見逃さずに掴んできたことも良かったですね。ウェブサービスに関わるものづくりをするための良い場に出会うことができましたし、そこでの経験から今度はそういった場を自分が作っていきたいと思うこともできました。
Q
これからどうしていきたいと考えていますか?
A
現在はサイバーエージェントで横断的にプロジェクトに関わらせてもらっているので、組織全体での開発力やデザイン力を上げていきたいと思っています。自分と同じような人を育てられるように再現性のある仕組みを設計していく経験や成果を出すことはチャレンジしたいところです。

一方で、個人的にサービスやプロジェクトもしていきたいと考えています。具体的にはユーザーインタビューや採用をもっとカジュアルにできる場を作りたいと考えています。特に地方の場合だとコストがかかるイメージがあるので、そこを解決できるようにしていけたらいいですね。デジタルハリウッド卒業生の校友会という場もあるので、一緒に何かできたらとも思っています。

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デジタルハリウッド大阪本校

株式会社サイバーエージェント エンジニア
谷拓樹(デジタルハリウッド大阪本校 修了)
メディア部門でのフロントエンドエンジニア、UXエンジニア。中小企業向けの事業ベンチャーから、フリーランスでの受託、サイバーエージェントへ。その他講演活動、技術書の執筆もおこなう。

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