Interviewインタビュー

No.105

公開日:2026/01/08 

ホームカミングデーで出会ったふたりが、広島で地域活性イベントを開催!

イラストレータークリエイティブディレクタースクール運営デザイナー STUDIO広島デジタルハリウッド大阪本校デジタルハリウッド大阪校

No.105

イラストレーター/キャラクターデザイナー
北沢直樹さん
デジタルハリウッド大阪校本科クリエイティブ2000年修了

クリエイティブプロデューサー/デザイナー/ デジタルハリウッドSTUDIO広島オーナー
久保田涼子さん
デジタルハリウッド渋谷校Webデザイナー専攻2006年修了

2025年6月、東京・駿河台キャンパスで行われた「デジタルハリウッド校友会ホームカミングデー2025」。このイベントで意気投合したふたりが、アドビとともに広島でデザインワークショップ「まちの広作室 in ひろしま」を共同開催しました。人気アニメやアーティストのデフォルメキャラクターやテレビ番組のロゴデザインなどを手がけるイラストレーターの北沢直樹さん、東京で暮らしながら、故郷の広島でデジタルハリウッドSTUDIO広島オーナーを務める久保田涼子さんに、コラボレーションの経緯、卒業生コミュニティの広がりについて語っていただきました。

女性の社会進出を応援するデザインワークショップを開催

──はじめに、おふたりの現在のお仕事、活動内容について教えてください。
北沢直樹さん(以下、北沢):イラストレーター、キャラクターデザイナーとして活動しています。2025年は、カプセルトイ『軍艦巻きプルバックカー 軍カー』『おれたち袋麺 マスコットフィギュア』を発売することができ、自分にとっては特別な1年になりました。

また、制作の仕事とは別軸で、アドビの「Adobe Community Evangelist」と「Adobe Community Expert」としても活動しています。「Adobe Community Evangelist」は、Adobe製品やサービスの魅力を発信する公認エバンジェリストのことです。「Adobe Community Expert」は、アドビ製品の使い方に困っている方をサポートするコミュニティリーダーです。こうした立場から、アドビさんと一緒にワークショップを開催する機会も多いですね。

久保田涼子さん(以下、久保田):2025年4月に、誰にでも開かれたデザイン教育を目指して、デジタルハリウッドSTUDIO広島をリニューアル開校しました。現在はそのオーナー兼講師を務めつつ、STUDIO渋谷・吉祥寺でも講師をしています。自宅は東京にありますが、毎月10日ほど広島で過ごす二拠点生活です。また、Webデザインに関する書籍の執筆も行っています。

最近は、ゼロから1を生み出す企画プロデュースの仕事も増えています。たとえば広島の街づくり団体と連携し、街のにぎわい創出につながる企画に、デザインやクリエイティブの分野から携わっています。また、広島の原爆について次世代にどう伝えていくかといったテーマで、平和学習とクリエイティブを掛け合わせた取り組みも行っています。修学旅行生に向けた平和学習デジタルスタンプラリーの開発や「オンライン灯ろう流し」の開発などもその一例ですね。

活動において大切にしているのは、人をつなげること、そこから新しいものを生み出して、次世代につなげていくこと。デザイナーという肩書よりも、「久保田涼子を必要としている人たちにスキルを還元する」という感覚で仕事をしています。

──おふたりがコラボレーションしたイベントについて、詳しく教えてください。
北沢:アドビさんと一緒に、デザインワークショップ「まちの広作室 in ひろしま」を開催しました。「まちの広作室」は、アドビのデザインツール「Adobe Express」の活用法を広めるために、全国各地で行っているイベントです。

僕が講師を務めた下北沢を皮切りに、福島県大熊町、大阪、鹿児島、宮崎、山形など、アドビさんと一緒に全国を回っています。広島開催については、「広島で女性の社会進出を応援したい」という久保田さんの強い思いがあって、それを後押しする形で実現しました。


久保田:私の出身地でもある広島県は、4年連続で転出超過数が全国最多なんです。その背景には雇用の問題もあって、「地元に戻りたいけど、仕事がないから戻れない」という声をよく聞きます。

だからこそ、「広島に帰っても仕事はある」「広島で楽しく働いている人たちがいる」という姿を見せたい、希望を感じてもらいたいという思いで、このイベントを企画しました。……と、大きなことを言っていますが、直樹先生に「広島に来たことがないなら、一度おいでよ」とお誘いしたことから始まったイベントでもあります(笑)。

北沢:デジタルハリウッドSTUDIO広島の講師の中に、「Adobe Community Expert」が3名いるんですよね。その方々がSNSで発信しているのを見て、ずっと広島が気になっていました。そこで、涼子先生とお会いしたときにその先生方の名前を出したら「もちろん知ってるよ」という話になり、そこから一気に距離が縮まったんです。

久保田:「うちの『主婦・ママクラス』の先生だ!」となり、「じゃあ広島においでよ」「行く行く!」って(笑)。

北沢:その後、「広島で「まちの広作室」を開催するのは社会的な意義もあるのではないか」と僕からアドビさんに提案したところ、先方も乗り気になって。その結果、今回のワークショップを実現することになりました。

久保田:私も「街づくり×クリエイティブ」に興味があったので、「まちの広作室」の取り組みは、自分のやりたいことと親和性があると感じました。

ホームカミングデーがコラボレーションのきっかけに

──おふたりが顔を合わせたのは、2025年6月のホームカミングデーが初めてでしたか?
久保田:そうです。デジタルハリウッドを卒業してから時間が経っていたものの、私がホームカミングデーに参加したのはその時が初めて。STUDIO広島のオーナーになったのだからと思い、勇気を出してひとりで参加しました。

ただ、知り合いが誰もいなくて(笑)。スタッフルームに駆け込んだところ、大阪エリアのマネージャーを務める吉井朋さんが、「一緒に行こうよ」と声をかけてくださったんです。そこでふたりで移動していたところ、直樹先生にお会いして。吉井さんがつないでくれたおかげで、お話ができました。

北沢:そのあと、メディアライブラリーに移動して、さらにいろいろ話しましたよね。それ以降もXでやりとりするようになりました。

──そこから、イベント開催に向けてどのように動いていったのでしょうか。
久保田:東京の家が近かったので、「お茶に行きましょう」となって。直接顔を合わせて話せたこと、自宅が近かったことがトリガーだったかもしれません。

──実際にイベントを開催した感想はいかがでしたか?
北沢:改めて広島の皆さんは、バイタリティがすごいなと感じました。皆さん前のめりで参加してくださって、真剣に話を聞いていましたよね。東京だともう少しドライで、ササッと作って終わるケースも多いので。

久保田:最初は少し緊張されている方が多い印象だったので、私が間に入って「こういう方たちなんですよ」とつないだり、場を和らげるように動いたりしていました。でも、ワークが始まった瞬間から空気が一気に柔らかくなって、皆さんどんどん前のめりになっていって。最後は「楽しかった」というオーラにあふれていましたよね。客観的に見ても、すごく心をつかむワークショップだったなと思いました。


北沢:生成AIを扱ったのも良かったと思いますね。ChatGPTは使っているけど、「画像を作る」「画像を変える」という体験は初めての方が多かったようで、とても盛り上がりました。

普段は45分くらいかける内容を30分でやったので、かなり駆け足でしたが、皆さんちゃんとついてきてくれましたよね。涼子先生がスタッフの方をたくさん集めてくださって、ほぼマンツーマンに近いサポート体制を作ってくれたからだと思います。


久保田:今回は「誰も取り残さない」ことをすごく大事にしました。できなかった経験よりも、「できて楽しかった」という喜びを全員に持ち帰ってほしかったんです。

事前のスタッフミーティングでも、「とにかく参加者が楽しい経験をするために声をかけてほしい」「手が止まっている人にはこちらから寄り添ってほしい」と何度も伝えました。皆さんそれをちゃんと受け止めてくれて、本当にありがたかったですね。

──サポートのスタッフは、東京からもいらしていましたよね。
久保田:はい。いわゆる「久保田の推し活メンバー」です(笑)。吉祥寺音楽祭のサイトを制作するOJTプログラムにエントリーしてくださった卒業生と、「地域のみらい講座」の受講生たち6名が、広島旅行を兼ねてサポートしてくださいました。


──おふたりとも、人と人とをつなぐ「接着剤」のような存在ですね。
北沢:「まちの広作室」は、これまで地域の商店や事業者を対象にチラシやポップのデザインを教えることが多くて「自分で作りたいけれどやり方がわからない」という方々に、「Adobe Express」を使えば簡単にできると伝えるプログラムでした。ですが、今回は少し違って、副業を考えている女性にもデザインの力をつけてほしいという文脈が強かったんですよね。そういった方々をつなぐ役割を果たせたのだとしたらうれしいです。

デジタルハリウッドという共通項から生まれる、世代を超えたつながり

──デジタルハリウッド在校生・卒業生が集まると、こうした面白い化学反応が起きますよね。デジタルハリウッドという共通項を持つ人たちの集まりについて、何か感じることはありますか?
北沢:実は、僕の世代は「デジタルハリウッド卒」を隠しがちなんです。

久保田:え、なぜですか?

北沢:名前がちょっと変わっているから恥ずかしい、みたいな感覚でしょうか。ゲーム業界、アニメ業界で活躍する方々がたくさん卒業されていますが、コラボレーションの文化はあまりなかったように思います。それに比べると、若い方々は人とつながってものを作ることを自然に楽しんでいて、すごく素敵だなと思いますね。

久保田:私はデジタルハリウッドSTUDIO渋谷の立ち上げに講師として携わり、講師としても全国のSTUDIOを回ってきました。その中で感じるのは、どの拠点にもデジタルハリウッドらしい人たちがいるということ。人とのコミュニケーションが好きで、やる気にあふれた前向きな人たちが集まっているんですよね。場所は違えどカラーが似ているのが、不思議であり面白いなと思っています。

北沢:先日、デザインフェスタに出展した時も、DIGITAL FRONTIER GRAND PRIX 2025のグラフィック部門で受賞した卒業生が、わざわざ僕のブースに来て声をかけてくれて。最近の学生さんは、純粋にデジタルハリウッドが好きなんだなと感じます。

久保田:私が通っていた頃に比べて、女性の割合も増えましたよね。コミュニティの雰囲気も変わりました。昔はもっと尖っていて、「専門職」みたいな空気が強かった。私自身もそうでしたけど、「一般職とは違う私たち」という意識があった気がします。

でも今は、「自分らしさのために」「在宅でできる仕事の選択肢のひとつとして」という理由からデザインを学ぶ人も増えています。その分、横のつながりも広がりましたし、柔らかな空気感になったように感じます。

北沢:凉子先生は、デジタルハリウッド大学の卒業生との関わりはありますか?

久保田:実は、あまりないんですよね。

北沢:これから増えていくと思いますよ。ホームカミングデーに来ると、大学の卒業生もたくさんいますから。ぜひ交流してほしいです。

──最後に、ホームカミングデーの魅力をアピールしていただけますか?
北沢:卒業生と挨拶し、その場で盛り上がり、つながりを持てば、コラボレーションの可能性が必ず生まれます。人として好きになった相手に対しては「この人のために何かしたい」という気持ちが自然に湧いてきますし、同じ場所で学んだ人たちなら、なおさら安心感や仲間意識がありますよね。今回のようなワークショップも、まさにホームカミングデーに参加したからこそ生まれたものだと思います。

久保田:奇跡的な出会いでしたよね。私と直樹先生は、仕事への向き合い方や講義に対する考え方など波長がすごく似ていて、コラボレーションもとてもやりやすくて。それも、ホームカミングデーがあったからこそ出会えたご縁だと思います。参加したことがない方も、ぜひ扉を開いてほしいですね。


北沢直樹さんが学んだ校舎はこちら
デジタルハリウッド大阪本校

久保田涼子さんがオーナーを務める校舎はこちら
デジタルハリウッドSTUDIO広島

イラストレーター/キャラクターデザイナー
北沢 直樹さん

1978年、長野県生まれ。1999年デジタルハリウッド大阪校本科クリエイティブに入学。2000年、デジタルハリウッド大阪校修了後、ポリゴン・ピクチュアズでグラフィックデザインを担当。2007年、デザイン事務所Furikake Products設立。『ONE PIECE』『攻殻機動隊S.A.C』や、某有名アーティストや声優、女子プロレス「アクトレスガールズ」「スターダム」のデフォルメキャラクターデザイン、グッズデザインなどメジャータイトルのイラストを手掛ける。2025年、カプセルトイ『軍艦巻きプルバックカー 軍カー』『おれたち袋麺 マスコットフィギュア』をリリース。
北沢直樹さん公式サイトhttps://naokikitazawa.com/

クリエイティブプロデューサー/デザイナー/デジタルハリウッドSTUDIO広島オーナー
久保田 涼子さん

1982年、広島県生まれ。有限会社 久保田商事 代表取締役。東京女子大学 文理学部 心理学科卒業後、デジタルハリウッド渋谷校に入学。現在は、「ワクワクするモノ・時間・場所を生み出す」をテーマにものづくりを行うクリエイターとして活動中。国内外のWebサイトをトータルプロデュースするほか、デジタルハリウッドSTUDIO講師として教材開発に多数携わる。また、次世代への平和学習を考える、第三世代が考えるヒロシマ「 」継ぐ展の代表を務め、教育機関での講演、「オンライン灯ろう流し」の開発、修学旅行の受け入れなどを行う。2017年から広島大学非常勤講師を務めている。
久保田涼子さん公式サイトhttps://kubotaryoko.com

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