Interviewインタビュー

No.54

公開日:2022/10/14 

「仕事は理想の暮らしを叶える手段」柴犬と子どもを育てながら、自らの進化も止めないWebクリエイター

Webデザイナーディレクターデザイナー代表取締役 デジタルハリウッドスクールデジタルハリウッド東京本校

No.54

株式会社クラシバ 代表取締役・Webクリエイター
鮫島允さん(デジタルハリウッド東京本校本科Webクリエイティブ専攻 修了)

仙台の自宅で柴犬と暮らし、子育てに奮闘しながらWebクリエイターとして活躍する鮫島允(さめじま・まこと)さん。デジタルハリウッド卒業後、Web制作会社4社での勤務を経てフリーランスに転向されました。2020年にはご夫婦で株式会社クラシバを設立。代表取締役として、デザインを中心とした様々なプロジェクトを展開されています。

3度の転職と、1度の独立。その時々の自分にフィットする場所を追求して躊躇なく働き方を変えていく姿には、変化の激しい時代を生き抜いていく柔らかな強さを感じます。就職や転職など、キャリアに関する悩みを抱えている人はぜひご一読ください。鮫島さんの言葉から「こんな生き方もあるんだ」と、肩の力が抜けて新たな見方を得られるかもしれません。

ワンランク上のWebサイトや絵画を制作するクリエイティブカンパニーを起業

Q
現在のお仕事内容について教えてください。
A

Webサイト制作を中心に行うクリエイティブカンパニー・株式会社クラシバを起業して、Webクリエイターとして活動中です。企業のコーポレートサイトや飲食店の店舗サイトなど、幅広い案件に携わっています。

仕事の進め方としては、企画や提案を含むディレクション、デザイン、実装まで、ほぼ全ての工程を一人で行うことが多いです。ただ最近はクライアントの規模が大きくなってきたので、パートナーと複数人で制作することも増えました。その中で私はデザインをメインに担当しています。

▲クラシバのホームページ。鮫島さんの制作事例はこちらをご参照ください。

クラシバのビジョンは「関わったヒト・モノのクリエイティブをワンランク上げる」こと。これは「今まであなたが頼んでいた制作会社より、一つ上のクオリティの作品を提供することをお約束します」という意味です。

もの凄いクオリティの制作物を作る会社は世の中にたくさんあることを知っていますので、No.1の作品を提供するとはとても言えません。ですが、現状よりも「ちょっと上」の作品を必ず制作することを約束していますので、妥協しないで徹底的に取り組みます。期待の120%を必ず提供すること。そこはずっと大切にしてきました。

それから、もう一つの事業として、私の妻であるアーティスト「Yoshie Moriuchi」の絵画販売も行っています。先日、岡山県のTSUTAYAでポップアップストアを開催しまして大変好評でした。本当に素敵な絵なので、多くの方に知ってもらいたいですね。

▲TSUTAYA BOOKSTORE 岡山駅前のC/STOREにYoshie Moriuchiの作品を出店しました。

Q
鮫島さんの強みは何でしょうか?
A

独立する前はWeb制作会社4社でディレクターをやっていて、たくさん失敗を重ねてきました。その時に苦しみながらも少しずつクライアントのニーズを汲み取るコミュニケーション力を身につけて、それが今の自分の強みになっています。

具体的に言うなら、どんな偉い人が相手でもフラットに接して、本音を話しやすい柔らかな空気を作ること。そして雑談のような会話からクライアントの世界観を引き出して、デザインに落とし込める点が評価いただいているようです。「自分たちのこれからありたい姿が表されています」と、作品を気に入ってもらえた時は嬉しかったですね。

それが強みとなり、結果的にほぼ全てのお客様にリピートしていただいています。そこから紹介につながることも多いので、ありがたいことにお仕事に困ったことは一度も無く、偶発的な出会いを楽しみながら働くことができています。

なんとなく過ごした大学時代。未経験からWebディレクターとして就職できた理由とは?

Q
どんな経緯でWebクリエイターになったのでしょうか?
A

正直に言うと、学生時代は本当に何も考えていませんでした。なんとなく受かったところに進学した感じで、大学で自分が何を勉強していたか一つも思い出せません(笑)。

ただ、誰もやっていないことをやりたいというリーダー気質な一面があって、大学でサークルを立ち上げたんです。その時に、ホームページビルダーを使って初めてWebサイトを作りました。もともとパソコンが好きでしたし、自分の作品でサークルの仲間が喜んでくれたことが嬉しくて、そこからWeb制作に興味を持ち始めたというのがきっかけです。

漠然と「起業したい」という想いがあったので、就職活動はせずに1年間アルバイトをしていました。将来が見えなかった時、知人にデジタルハリウッドを勧められました。その時に決意したんです。自分は、この道に賭ける。Webクリエイターとして生きていく、と

Q
実際にデジタルハリウッドに入学して、いかがでしたか?
A

楽しかったですね。CSSを初めて学んだ時は難しすぎて「これは絶対にできない」と思いました(笑)。でも人生を賭けると決めていますし、同期がたくさんいたので助け合いながら学ぶことができました。デザインを一通り学んでいくと楽しくて、これなら飽きずに一生できると思ったほどです

デジタルハリウッド卒業後は、お世話になった林先生の紹介で、Web制作会社のユナイティアにWebディレクターとして就職。ディレクターは未知の領域でしたが、何事も経験だと思って飛び込んで、ここからキャリアがスタートしました。

挫折しながら4社で修行。転職はネガティブなことじゃない。

Q
会社員時代のご経験について教えてください。
A

Webディレクターとして、合計4社で2〜3年ずつ勤務しました。転職回数は多いですが、それはネガティブなことではありません。ライフステージの変化に応じて、その時々の自分に必要な環境を見つけてステップアップしてきた結果です。

1社目のユナイティア株式会社はレベルが非常に高くて、最初は全然ついていけませんでした。ディレクターとしてのスキルがゼロなので、打ち合わせもすごく緊張してしまい、たくさん怒られましたね。正直、挫折を味わいました。それでも師匠となる先輩がいて、多くを教えていただいたことは、本当に良い経験だったと今でも感じています。

2社目は、株式会社アイ・エム・ジェイです。ユナイティアが吸収される形だったのですが、大手のため社風が変わったことを感じました。良い会社でしたが少数精鋭のスタイルが好きだったこともあり、2年後に転職しました。

3社目は、株式会社LIGです。ここは毎日が学園祭のように楽しい会社でした。同僚というより友達同士という感じで、個性的なスキルを持つ方々と仕事ができて本当に面白かったです。ただその頃に自分が結婚することになり、働き方を見直すことを決めました。自社サービスを提供している企業で学びたいという気持ちもあり、3年後に転職しました。

4社目は、GMOメディア株式会社です。ここは本当に働きやすい環境でした。一方で、4社での経験を重ねていくうちに、スキルに自信がついたことも感じました。仕事の本質であるコミュニケーション力を鍛えたことで、どんな仕事でもやっていける気がしたのです。「今の自分なら起業できるかもしれない」と感じ始めた矢先、とある方との出会いをきっかけに独立することになりました。

有名俳優に認められた提案力を武器に、いよいよ独立

Q
とある方とは、どなたでしょうか?
A

俳優であり投資家でもある、水嶋ヒロさんです。知人経由で「とある方から相談がある」と聞いて現場に行くと、あの水嶋さんが登場しました。

自身の活動を表現していくWebサイトを作りたいという相談を受けたので、これまでの知識と経験を総動員して全力で提案したところ、驚くことに「感動した」と言っていただくことができました。クリスマスも、元号が令和に変わる時も、水嶋さんと一緒に仕事をしていた思い出があります。

▲水嶋ヒロ氏のメディアサイトを提案・制作。現在はアメブロに移行した為、閲覧することができません。

これは副業として携わった案件でしたが、この一件で自信がついて独立を決意。Web制作会社4社で培ったコミュニケーション力・提案力を強みとしながら、デザインから実装まで全て自分で担当するWebクリエイターになりました。以来たくさんの出会いとともに、順調に活動を続けています。

仕事とは、自分と家族の理想を叶える「手段」に過ぎない

Q
鮫島さんが仕事をする上で大切にしていることは何ですか?
A

仕事はもちろん120%の力で取り組みます。でも実は、人生において仕事ってそんなに重要じゃないというマインドなんですよ。よく「男は仕事だ」とか言いますけど、そういう考えは全く無くて、自分と家族の暮らしのために、自分の得意なことで人の役に立てることをやっているという感覚です。

仕事は好きですし、全力で真面目にやります。ただ、あくまで「自分がこうありたい」という理想があって、それを叶えるための手段として仕事を捉えているんです。仮に今の仕事が無くなったとしても、これまでの経験からどんな仕事でも何とかやっていける自信がありますから、変に力を入れることなくマイペースに働けるようになりました。

理想の働き方を叶えた今、幸せを実感する瞬間とは

Q
今の働き方と、幸せに感じることを教えてください。
A

今のワークスタイルは、妻の実家がある仙台に暮らし、夫婦ともに在宅で働いています。2歳の息子と柴犬がいて、いつでもそばで見守りながら働ける環境は幸せですね。成長を一つも見逃さないことは、この働き方の特権だと感じます。


▲お子さんと柴犬のこまめちゃん。休日はご家族で自然あふれる場所に出かけています。

子育てや犬の散歩があるので、仕事は10時〜18時の間に集中して行っています。育児に関しては、妻と協力しながら半分ずつ分担しています。正直、限られた時間の中でインプットの機会が十分に取れないことは悩みの一つです。それでも通勤がない分時間を有効に使えますし、うまく業務の優先順位をつけながら効率的に働くことで、会社員時代を上回る収入を確保できています

他にも幸せだなと感じることは、仕事を自分で選べること。「この人と一緒に働きたい」と思う人と仕事をすることができますし、その関係性は続いていきます。それから、経営を通して経理や法務の知識を学べることも楽しいです。「社会はこういう仕組みで成り立っているんだ」と、常に新しい学びがありますね。

成長する秘訣は、7:3の「プリンの法則」

Q
子育てなどで時間がない中、自分の成長のために意識していることはありますか?
A

前職LIGの副社長から教えてもらった受け売りの知識を一つ。プリンって、7割のプリンと3割のカラメルという黄金の割合があるじゃないですか。それと同じように、案件獲得においてもバランスを何よりも大切にしていて、これを「プリンの法則」と呼んでいます。

限られた業務時間のうち、7割を既存のお客様とのお仕事に使います。そして残りの3割は新規のお客様のために必ずリソースをあけるようにしているんです。そうすることで、今まで出会わなかったジャンルのお仕事にチャレンジできたり、新しい技術やトレンドに触れる機会が増えたりして、自分自身の成長につながるんですよね。

既存のお客様に10割のリソースを割りあてる方もいらっしゃいますが、それではお客様も増えていきませんし、せっかく独立している意味がなくなってしまいます。ですから、このように長期的な目線を大切にして、限られた時間を有効活用できる案件受注の仕方を工夫しています。まあ、結局7:5になって常に120%稼働している状態なんですけどね(笑)

どうありたいかを描くことで、道は自ずと開かれていく

Q
今後のビジョン、そして読者へのメッセージをお聞かせください。
A

これからのビジョンは、クラシバの自社サービスを展開して事業をさらに発展させること。Yoshie Moriuchiの絵は素晴らしく将来性にあふれていますので、これを軸に新たな展開を模索していきたいです。あとはマイホームを建てることも夢の一つです。

仕事は私にとって、あくまで手段であって目的ではありません。いかに自分自身、それ以上に家族が幸せに、心地よく、ストレスなく暮らしていけるかが私にとっての目的ですから、それを叶えるための手段として仕事に精一杯取り組んでいきます。

自分がどうありたいか、どう生きたいかを描くこと。そうすることで、道は自ずと開かれていくのではないでしょうか。

鮫島允さんが学んだコースはこちら↓↓
デジタルハリウッド(専門スクール)
※当時とはコース名称・内容等が変更されています

株式会社クラシバ 代表取締役
鮫島允(さめじま・まこと)さん
柴犬こまめと一緒に暮らしているWebクリエイター。過去にWeb制作会社で各大手クライアント案件のディレクターを務め、メディアの運営や新規事業立ち上げ、アプリサービス運営を経験。現在はデザインを中心に職種幅にこだわらず様々なプロジェクトで活動中。

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