No.104
映画監督・コスモボックス株式会社 代表取締役CEO (デジタルハリウッド大学院 修了)
デジタルハリウッド校友会の根鈴会長が、歴代の卒業生や在学生を続々と訪問!その際に伺ったそれぞれの自分らしい生き方やパーソナルな部分などに焦点を当てて綴ってゆくインタビューの新シリーズ、ぜひご覧ください。
MY NOW
Q.今はどんな仕事をしていますか?
社会課題をテーマとして企画・原作を自ら生み出す独立系映画監督を軸に活動しています。そこから派生して経営者、教育者、研究者、小説執筆など、1人で10役以上をこなしているので、これといった職業名は決められません。たとえば教育者の仕事に関しては、幅広い世代の方々を対象に講演会活動を行っています。小学生には「自分の心を大事にして目的を持って生きること」を、高齢者や経営者には「逆境の乗り越え方」などをテーマにお伝えしてきました。研究者としては文化人類学、サービス学、ウェルビーイングが専門で今年度博士課程を修了予定です。映画製作の内側からフィールド調査を行い論文にまとめています。
Q.今後の目標は?
日本は幸せで豊かな国と言われることもありますが、子どもたちの現状を考えるとそうは言えません。9人に1人が困窮状態にあること、そして虐待、ネグレクト、ヤングケアラーなど、さまざまな状況下で苦しんでいる子どもたち30人の声を聞いて、心が痛くなるばかりです。この現状を変えるために、映画「ギブ・ミー・マイライフ!」(2026年撮影予定)を通じた課題解決に挑戦することが私の志です。分断された社会では、相互理解が簡単ではありません。だからこそ私は研究者・教育者・経営者などの複数の立場で活動し、それぞれのマインドの違いを理解することで、相手の気持ちに寄り添える人になりたいと考えています。
Q.古新さんにとって、自分らしく生きるとは?
「今日はどんな人と出会ったら楽しいか、どんな仲間といたらワクワクするか」と考えながら、一日が”一生”だと思って大切に過ごすことが自分らしい生き方です。以前は「結果を出して注目されたい」と考える野心家でした。けれども結局は仲間が離れてしまい、うまくいかなかったんです。その経験があるからこそ「笑顔、感謝、達成感」といった見えない価値が大切だと痛感しています。柔軟に優しく生きることを実践し、それを自らの活動で広く伝えていきたいです。
HISTORY
Q. 入学のきっかけは?
デジタル時代の映画製作を学ぶため
早稲田大学大学院に在学中、映画制作の研究室に所属していました。そこでは昔ながらのフィルムを使った制作方法を教えていて、デジタルの技術は学べなかったんです。当時はVFXが盛んになってきた時代で、制作ソフトを使えるようになりたいと考えていた時、御茶ノ水でデジタルハリウッドを発見。専門スクールに入学して技術を学んだ後、クリエイティブだけでなくアントレプレナーシップを学ぶべきだと考えて、大学院にも進学しました。
Q. 在学中印象的だったこと
対話型の講義「アクティブラーニング」
羽根拓也先生のアクティブラーニングの授業が印象的です。私は受験のために一人で黙々と勉強して苦しんできた人間なので、対話型の講義を実際に体験して画期的だと感じました。ハーバードで学んだ先生が最新の実践的な講義をしてくださる環境が新鮮で、目から鱗が落ちたような感覚でしたね。大学院で学んでいた時期は、ちょうどデジタル黎明期。同期にはインターネット事業に挑戦する方も多く、面白い仲間に出会えたことが強く印象に残っています。
Q3. 卒業直後は?
「取り残される命」をテーマに映画製作
当初は地方創生をテーマとする映画監督を目指しました。岩手県釜石市の出身の私は、行政が予算を出しやすい文脈に乗って制作費を確保しようと考えたのです。ところが2011年の震災を機に、2年間ボランティアを経験して考えが変わりました。地方の中でも「取り残される命、価値観」が多くあると気づき、売れる映画監督を目指していた自分の精神性を改めました。そして2013年、犬や猫の殺処分問題を扱った長編映画「ノー・ヴォイス」の劇場公開に至ります。
PERSONAL
Q. 人生のバイブル
大久保寛司著「あり方で生きる」
大久保寛司さんが語る「あり方」とは、スキルや知識の前に、人としてどう在るかという姿勢です。創作活動や会社経営、研究活動においても、最終的に人を動かすのは論理や技術ではなく、その人の在り方からにじみ出る誠実さや信念、人間性です。自分の心を磨いていくことで、望んだ未来は必然的に導かれていくと信じています。
Q. 私の趣味
「主催」
私の趣味は「主催」です。人が集まる場をつくり、想いを共有し合える空間をデザインすることに大きな悦びを感じています。仲間の笑顔こそ、最大の財産です。場を主催するとは、単なるイベント運営ではなく、未来を共に描くための「物語の舞台」をつくることです。立場や肩書き、年齢を超えて人が心を開き、新しい関係性と可能性が生まれることが何より幸せに感じます。
Q3. Myルーティン
欠かさず続ける10個のルーティン
「辻井信行さん『川のささやき』」「水を飲む時に若返らせてくれて有難うと呟く」「町内ランニングゴミ拾い」「冷水を浴びる」「なんまんなんまん有難うを唱える」「冷水を浴びる」「有難う瞑想をする」「英語のYouTubeを聴く」「日経新聞読み合わせYouTubeを聴く」「十割蕎麦に野菜をてんこ盛りにして毎朝食べる」この10個を欠かさず続けています。どれか興味があるものがあったら、1つでも試されてみてください(笑)

