No.31
Maslow株式会社代表取締役
安達卓則さん(デジタルハリウッドスクール本科UI/UXD専攻)
このインタビューは、2020年12月当時の内容です。
まったくの未経験から、デザイナーを志す
- Q
- 安達さんのこれまでのご経歴と現在のご職業を教えてください。
- A
- 学生時代は建築設計を学んでいましたが、研究よりもビジネスに興味が湧いて、中退してスタートアップ企業で営業をやっていました。その後デジタルハリウッドスクール本科UI/UXD専攻(以下デジタルハリウッド)や制作会社でデザインを学び、フリーランスのデザイナーへ転身しました。
現在はスタートアップから大企業まで幅広くデザインのお手伝いをする、Maslow株式会社で代表をしています。
- Q
- 営業職だった安達さんが、デジタルハリウッドに入学されたきっかけは何だったのでしょう?
- A
- デザイナーになりたかったこと、デジタルハリウッド出身の友達がいて馴染み深かったことなどが入学したきっかけです。
- Q
- なぜ、デザイナーになりたかったんですか?
- A
- Webサービスに関する営業をしていた頃の話なのですが、サービスを売り込む際に「使いづらい」「エラーになってしまう」など、そのサービス自体のUI・UX設計の課題が障壁になることがありました。
その時は独自で競合を分析して社内に提案をしたのですが、結局手を動かすリソースが足りずに実現されなくて……自分もデザインに携われたらユーザーの課題を解決できるのに、と思ったことがデザイナーという職に興味が湧いたきっかけのひとつです。
- Q
- サービス改善にあたって自ら手を動かしてデザインしたいという思いが、デザインを学ぶきっかけだったんですね。
- A
- あとは、「天職」となるものを見つけたかったというのもあります。営業職時代に自己分析に没頭していました。営業は自分にとって「天職」ではない気がしていて。一生やっていくことはないだろうなぁとも思っていましたね。
- Q
- デザイナーは、天職と思える職業だった?
- A
- 幼少期にはよく絵を描いていたことや、ダンスなどの表現活動が好きだったことから、営業ではなくクリエイティブな仕事の方が向いているんじゃないかと思ったんです。
その上での「デザイナー」という選択肢はしっくりきていて。調べてみたところ海外でUXデザイナーが増えてきていたり、今後需要がますます増えていくということを知って、以前から馴染みがあったデジタルハリウッドに入学を決意しました。
- Q
- それを機に営業のお仕事は退職されたのでしょうか?
- A
- そうですね、退職はしたのですがデジタルハリウッドに入学するのと同時期に、未経験でもデザイナーとして雇ってくれる制作会社に入社しました。
もともとデジタルハリウッドに通って卒業をしてから転職しようと思っていましたが、それだと時間がかかってしまうだろうなと思い、デザインを実務で学びながらデジタルハリウッドでも学ぶ選択をしたんです。
社会人学生という準備期間
- Q
- では、社会人学生として学ばれていたんですね。正直、大変ではなかったですか?
- A
- デジタルハリウッドで学び、制作会社で働いている中でデザイナーとして副業もしていて、その頃は月300時間以上はデザインすることに時間を投資していました。修行の時期として位置づけていて、大変ではありましたが、楽しんで学べていたと思います。
- Q
- ストイックですね……
- A
- どんな仕事でも言えることかもしれませんが、圧倒的な量をこなして努力していくことが、当時から成長への近道だと思っています。この時に時間を投資したおかげで、今の仕事に活きているというのは間違いありません。
- Q
- 安達さんにとってこの修行期間が大切な時期だったんですね。
- A
- そうだと思います。デジタルハリウッドで実践的な経験ができて、きちんと上司や先生からフィードバックをもらえる環境でデザインを学べました。客観的かつ具体的に改善点を教えてもらえて、デザインの基礎力がついていったと思います。
デジタルハリウッドや制作会社は、僕にとってはインプットの場でもあり、アウトプットの場でもあったんですよね。
- Q
- デジタルハリウッドではどんなことを学ばれていたのでしょう?
- A
- Webデザインや商品のパッケージデザイン、ロゴデザインなど多岐にわたります。なによりも学んでいく過程で、グループワークをして同級生とコミュニケーションをとることが多く、全然違う業界の人とのつながりを持つことができたのが大きかったですね。
経営者やエンジニア、カメラマン、イラストレーターなどいろいろな人と同じクラスでデザインを学ぶことができて、その中のメンバーの二人とは今でも僕の会社で一緒に働いているんです。
オンラインスクールや独学でデザインを学ぶこともできなくはないですが、デジタルハリウッドで対面で共同作業は貴重な体験だったし、デジタルハリウッドというコミュニティとしての価値はとても大きいと思います。
デザイナーとして独立、そしてMaslowの設立
- Q
- デジタルハリウッド卒業後はフリーランスのデザイナーになられたんですよね。
- A
- デジタルハリウッド時代に制作会社でデザイナーもしていたのですが、急に会社の都合で部署移動となってしまい、再び営業職になって。これを機にフリーランスとして活動を始めました。
もともと起業家の友達が周りに多かったということもあり、相談の延長で仕事を任されていました。以前から個人的に請け負っていたデザイン業務を継続するかたちで、独立に踏み切れたんだと思います。
- Q
- 最初はご友人とのお仕事から始まっていったんですね。
- A
- そうですね。最初は友達からデザインの依頼が来て、フリーランスとして仕事をすることができ、今のMaslowにつながっていきました。
- Q
- 順調に独立されていったんだな、と感じるのですが、実際はどうだったんでしょう?
- A
- 幸い人とのつながりはあったものの、それをどのように仕事につなげるかという点では工夫を重ねました。きちんとポートフォリオを整理したり、SNSで発信し続けたり……全ては周りの人々からデザイナーとして認知してもらい、デザインを任せるなら安達に、と想起してもらえるように心掛けていました。そういった工夫が上手くいって、仕事にも繋がるようになっていきましたね。
そうしたフリーランス時代の延長として、2020年1月にはMaslow株式会社を設立しました。
- Q
- なるほど、初期の頃はデザイナーとして仕事を受けるために工夫を重ねられたんですね。現在はどんな風にお仕事をされていますか?
- A
- デザインパートナーとして、アプリ・WebサービスのUIデザインやweb制作、企業のビジョン策定から商品・サービスのブランド設計まで多岐に渡ってサポートさせて頂いています。また社内のデザインチームの自走を可能とさせるためのコンサルティングも行っています。それぞれのお客さんの課題に応じて、デザインに付随するサービスを展開していますね。
- Q
- 上流から下流までトータルのお仕事をされているんですね。メンバーはどのくらいいらっしゃるんでしょう?
- A
- 業務委託の契約をしているメンバーが2020年12月現在22名在籍していて、主にそのディレクションを僕が担当しています。デジタルハリウッドで出会った仲間を始め、Twitterやリファラルでメンバーを増やしていきました。
- Q
- デジタルハリウッド時代の仲間とも仕事をされているんですね!安達さんは、採用活動をされる時などはどのような考え方で意思決定されているんでしょう?
- A
- 採用については、特に経験やキャリアを重視するというわけではないですね。未経験の方でも弊社では成長できると思っているので、多種多様な方を採用しました。
ですが彼らをメンバーとして迎え入れるために、とりわけ面談のときに注目したのは本人の自己実現欲求です。なりたいキャリアイメージや、理想の働き方、どういう生き方をしていきたいのか?を中心に質問をすることで、こちらがそれに対してどんな価値を提供できるかを知りたくて。
素直でやる気があり、成長欲求や学習欲求が高い人であれば環境次第で絶対に伸びると信じているので、実務経験がない方も積極的に採用していました。
自分は未経験からデザイナーという道へ進み、なりたい自分・ありたい自分に近くことができたので、自己実現ができた原体験をメンバーにも経験してほしいと考えていますね。
誰もが創造性を発揮して、自己実現できる世界を。
- Q
- 安達さんのキャリアを見ても、「天職を探す」「ありたい姿に近づくまでにすごく努力をする」など「自己実現欲求」に従って生きてきたのではないかと感じます。
- A
- 僕に自己実現欲求がなければ、恐らく今会社を経営していることはないと断言できます。
「Maslow」という社名は、自己実現理論を提唱した心理学者のアブラハム・マズローをモデルにしています。自分の眠っていた才能(創造性)を活かして、自らの意思で人生を創造していくことが自己実現につながっていくと思っており、その可能性は誰にでもあります。
「誰もが創造性を発揮して、自己実現できる世界を。」というビジョンも自分の原体験からつくったものです。
Maslowという会社自体も、自己実現のための手段に過ぎないと思っていて、なりたい自分になるためならメンバーには副業や独立も歓迎しています。実際に起業している人も出てきて、Maslowが自己実現ができるコミュニティとして機能していることを最近は実感していますね。
- Q
- 自分自身だけでなく、他者の自己実現を支援するコミュニティでもありたいと考えられているんですね。デジタルハリウッド校友会も一つのコミュニティとして存在しているのですが、今後新たなことにチャレンジしてみたい、といった展望はありますか?
- A
- デジタルハリウッドでデザインを学んだり新たな仲間と関係性を構築することで、スクールというコミュニティが個人に与える影響は大きいと感じることができました。こういった体験から、教育の分野にもいつかは足を踏み入れてみたいと思っています。
多くの人が自己実現できる世界を目指しているので、会社のメンバーだけでなくそうした新たなコミュニティを提供していきたいですね。
安達卓則さんが学んだコースはこちら↓↓
デジタルハリウッドスクール 本科UI/UXD専攻
Maslow株式会社代表取締役CEO
安達卓則さん(デジタルハリウッドスクール 本科UI/UXD専攻卒業)
東京都出身。スタートアップ企業で営業職などを経験し、2018年にデジタルハリウッドスクール本科UI/UXD専攻で1年間学びながら、制作会社にてデザイナーとして活躍。その後フリーランスとして活動し、2020年に「誰もが創造性を発揮して、自己実現できる世界を。」目指す、スタートアップ・新規事業特化のデザインファームMaslow株式会社を設立する。
Maslow株式会社
■プレスリリース
https://prtimes.jp/main/html/searchrlp/company_id/54752
■note(オウンドメディア)
https://note.com/taqno/