Interviewインタビュー

No.61

公開日:2023/06/17 

「描いた作品で喜んでもらいたい」仕事の依頼が途切れない人気イラストレーターの仕事論

イラストレーターデザイナー デジタルハリウッド大阪本校

No.61

イラストレーター/キャラクターデザイナー
北沢直樹さん
デジタルハリウッド大阪校本科クリエイティブ2000年修了

2000年にデジタルハリウッド大阪校を修了した北沢直樹さんは、誰もが知るアニメ・アーティスト・テレビ番組などのキャラクターデザインやタイトルロゴを数多く手掛ける人気イラストレーターです。そんな北沢さんは「デジタルハリウッドに入学していなければ今の自分はない」と断言します。その真意やイラストレーターとして成功するために必要なことなどについて語っていただきました。
(※このインタビューは2023年5月当時の内容です)

仕事の依頼は断らない

──現在、イラストレーターとして、どのような仕事をしているのですか?
アイドルや声優さん、アーティスト、アニメ、女子プロレスの方のデフォルメキャラクターやテレビ番組のキャラクター、コーナータイトルデザイン、ゲームのロゴ、キャラクターデザインなどをしています。

──日々どんな感じでイラストを制作しているのですか?
今は紙やペンはほとんど使っておらず、下絵から仕上げまでの工程をデジタルで行っています。下絵はAdobe Frescoを使って描いて、その後はIllustratorで仕上げていきます。クライアントはこれまで一緒に仕事をしたことのある人か、その紹介が多いです。

僕のWebサイトから来る新規のお客さんは1~2割程度。仕事の依頼を断ることはほとんどないので、常に複数の案件が同時進行しています。元々筆が早いタイプなので、溜めずにどんどん描いていくという感じです。

──イラストを描く上で大切にしていることは?
人を嫌な気持ちにさせないことですね。僕のイラストを見て喜んでもらったり、心が和んだりと、楽しい気持ちになってほしいという思いで描いています。

──イラスト制作の難しい点は?
例えば、タレントさんのキャラクターデザインや似顔絵イラストは、その人の顔の特徴を捉えて強調して描くのが基本なのですが、誇張しすぎるとあまりかわいくなくなってしまいます。匙加減は難しいですが、試行錯誤を繰り返しながら完成度を上げていきます。


──似顔絵を描く際に困ることは?
どこか一つ特徴を捉えればイメージは膨らんでいくので困ることはあまりありません。いろいろな角度、表情の写真を参考にして描いていきます。

描いた作品で喜んでもらいたい

──現在のご自身の作風はどのように確立していったのですか?
メジャーな仕事をしたい、よりクオリティの高いキャラデザがしたいと思い、そのために憧れていたイラストレーターさんの作風や好きな漫画・アニメのキャラの線の太さやタッチを真似るところから始めました。そうやって自分の理想とする絵を追求して地道に試行錯誤を続けていたら、自然と今の作風になりました。

──仕事の魅力・やりがいはどんなところにありますか?
僕が描いた作品をクライアントさんやモデルとなった方が喜んでくれること。これに尽きますね。似ているとかかわいいと言ってもらえるとすごくうれしいし描いてよかったなと思えます。

──これまで描いてきた中で特に印象に残っている仕事は?
デジタルハリウッドを卒業して2年後の2002年、ポリゴン・ピクチュアズで仕事をしていた頃に某有名アーティストのキャラクターのコンペの話が来ました。かわいくデフォルメしたイラストを描いてコンペに提出したところ、本人に気に入ってもらえて採用されました。このキャラクターは20年以上、コンサートグッズなどに使ってくれているんです。この実績は今でも自信になっています。

クライアントとの信頼関係が大切

──イラストレーターとして長く活躍するために必要なことや心掛けていることは?
クライアントさんの要望に応えることですね。打ち合わせ時に要望を詳しく伺い、それに沿って描きます。もしクライアントが気に入らなければ満足していただけるまでできるだけ描き直します。

クオリティだけでなく、早さも重要で、例えば、アーティストのグッズ制作は時間がなくて、〆切がかなりタイトなケースが多いんです。テレビ番組のタイトルロゴの案件でも、オンエアが近いけどまだできていないから急いで描いてほしいというオーダーがあったりします。

それほど〆切がタイトではないスケジュールの場合でも、設定した納期より早めに上げるようにするなど、スピード感は意識しています。そのように、クライアントさんと接していくことで、継続してご依頼をいただけることが多くなりました。


制作以外では、自分のポートフォリオサイトのSEO対策をすることも重要です。Googleで「テレビ ロゴ」と検索したときに、僕の作品が出てくると良いなと思って対策を進めまして、現状、一番上に来るようになったのですが、それ以降テレビ制作会社から仕事の問い合わせや受注が増えました。

ありがたいことに途切れることなくお仕事をいただけて、好きな絵を描いて活動できている今は幸せです。

今の僕があるのはデジタルハリウッドのおかげ

──今振り返ってみて、デジタルハリウッドに通ったことが現在の北沢さんを作り上げる上でどのように影響していると思いますか?
今の僕があるのはデジタルハリウッドのおかげと言っても過言ではないかなと思います。

デジタルハリウッドでは1999年から1年間、映像クリエイターを養成する本科クリエイティブで学びました。

イラストレーターとしては、アニメ制作の授業で学んだキャラクターデザインに関するノウハウや絵作りなどが、今の仕事にダイレクトに活きています。それ以外でも、3D映像制作について勉強したことが動画作成をする際に役立っています。

──ほかにデジタルハリウッドに入ってよかったと思うことは?
クリエイター仲間がたくさんできたことですね。いまだに連絡を取り合っている友達もいます。クリエイターとして第一線で活躍している同級生も多いので、自分ももっと頑張らないとと刺激を受けています。

──デジタルハリウッドは入学式で1年間の優秀賞を発表するDIGITAL FRONTIER GRAND PRIXを開催していますが、北沢さんはその中でグラフィック部門の審査員をしているそうですね。
はい。杉山学長に推薦いただき最初に参加させていただいたのは2014年で、それから今年までやらせてもらっています。学生の集大成となる作品を審査する機会は滅多にないのでありがたく拝見しています。最近は毎年卒業制作展にも行っていますが、素晴らしい作品ばかりで、大いに刺激を受けています。

ヒットコンテンツを作りたい

──今後やりたいことや目標を教えてください。
イラストレーターとしては、もっと多くの人に知ってもらえるようなメジャーなコンテンツ、ヒットキャラクターを作ることを目指しています。


イラスト制作以外では、誰でも簡単にポスターやチラシなどのデザインができるAdobeのデザインツール『Adobe Express』のアンバサダーをしています。ワークショップやオンラインセミナーなどでPR活動をしているのでぜひ見ていただいてデザインの楽しさをたくさんの方に知っていただきたいと思っています。

とりあえずチャレンジしてみる

──最後にデジタルハリウッド在校生へのメッセージをお願いします。
まずは仲間をたくさん作ってくださいと伝えたいですね。分野は違っても同じクリエイター志望なので、在学中はもちろん、卒業後も大いに心の支えや刺激になりますから。

それと、何にでもチャレンジしてほしい。例えば、デジタルハリウッドのスタッフさんから何かの募集やお誘いがあったら「やります!」ととにかく手を挙げる。いろいろなクリエイターがいる中でこれをやるとスタッフさんに覚えてもらえて、次に何かあった時に真っ先に声を掛けてもらえるからです。

何が次に繋がるかわからないので、とにかく来た球は全部打ちに行くとかチャンスは全部拾いに行こうとすることが重要。仮に得意分野じゃなくても自分にはできないなんて思わずに、とりあえずチャレンジしてみる。それを続けていけばクリエイターとしてのスキルも磨かれるし、いつか自分が本当にやりたいと思う仕事に出会えると思いますよ。

北沢直樹さんが学んだ校舎はこちら↓↓
デジタルハリウッド大阪本校

イラストレーター/キャラクターデザイナー
北沢直樹さん

1978年、長野県生まれ。
1999年デジタルハリウッド大阪校本科クリエイティブに入学。
2000年、デジタルハリウッド大阪校修了後、ポリゴン・ピクチュアズでグラフィックデザインを担当。2007年、デザイン事務所Furikake Products設立。『ONE PIECE』『攻殻機動隊S.A.C』や、某有名アーティストや声優、女子プロレス「アクトレスガールズ」「スターダム」のデフォルメキャラクターデザイン、グッズデザインなどメジャータイトルのイラストを手掛ける。その他、TBS「グッとラック!」キャラクター&コーナータイトルデザイン、信濃毎日新聞 月曜日付3面「NEWS そこ知り隊」キャラクターデザイン、「真型メダロット」キャラクターデザイン、絵本「ロコモコップ」作画など、多方面で活躍中。

北沢直樹さんの公式サイト

https://naokikitazawa.com/

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