Interviewインタビュー

No.24

公開日:2020/02/07  取材日:2019/08

STUDIO米子から、鳥取&島根情報を発信! デザイナーとして活躍する卒業生2人が語るスタジオの魅力とは

DTPデザイナーWebデザイナーフリーランス STUDIO米子

No.24

フリーランスデザイナー
細田香織さん(デジタルハリウッドSTUDIO米子卒業)
フリーランスデザイナー
村上祥子さん(デジタルハリウッドSTUDIO米子卒業)

このインタビューは2019年8月当時の内容です。

制作未経験のママがフリーランスデザイナーに!

Q
お二人は、デジタルハリウッドSTUDIO米子の卒業生です。入学されたのはいつですか?
A
細田:2014年7月から12月まで、Webデザイナー専攻にバナーの講座がついたフリーランススタートアップパックのコースを受講しました。ちょうどその頃、STUDIO米子の卒業生が制作チーム「米子コンテンツ工場」を立ち上げるところだったので、私も卒業後に参加させてもらって。今は米子コンテンツ工場でディレクターや制作をしたり、フリーランスとしてWebやパンフレットなどのデザインをしたりしています。

村上:私は2017年8月に、細田さんと同じフリーランススタートアップパックを受講しました。その後も流れはほぼ同じ(笑)。卒業して、そのまま米子コンテンツ工場に入りました。

Q
お二人とも、フリーランスとして仕事をするためにデジハリに入ったんですね。
A
細田:そうですね。もともと販売や事務の仕事をしていたのですが、その頃子どもが幼稚園の年少だったので自宅で仕事をしたいと思っていました。

村上:そこも私と一緒(笑)。サービス業だったのですが、子どもが小さいので家で仕事ができたらいいなと思って。実は細田さんと同じタイミングで、在宅ワークのセミナーを見ていたんですよね。私は悩んでしまって、約3年遅れて入学しましたけど。

Q
デジハリに入学するまで、Webデザインは未経験だったのでしょうか。
A
二人:全くありませんでした。
Q
特に印象に残っていること、面白かった授業はありますか?
A
細田:初めてコーディングを教わった時、事務の仕事をしていた頃に使っていたExcelに似ているなと思いました。なので、意外と覚えやすかった印象があります。

村上:私は、以前からいろいろなサイトを渡り歩くのが好きだったんです。でも、デジハリに入ってサイトの見方が変わりました。Webサイトのトレンドを教えていただくライブ授業を受けた時には、最新のWebサイトを知ったり、注目するポイントを聞いたりできて「あ、プロはそういうところをチェックするんだな」と気づくことができました。それまでは、パッとみて「あ、かわいいな」「おしゃれなサイトだな」で終わっていましたが、もう一歩踏み込んで「なんでかわいいと思ったんだろう」と考えるようになって。先生は、気になるサイトのソースも見ているそうなので、「そういうところをチェックすればいいのか」と勉強になりました。

Q
デジハリでは、卒業制作などの課題もありますよね。お二人はどんなWebサイトを作りましたか?
A
村上:母が織物教室を開いているので、そのサイトを作りました。公開はしていないんですけど。

細田:私は、卒業制作でポートフォリオサイトを作りました。入学前は何もわからなかったのに、ちゃんとWebサイトを作れるようになるんだなと思いました(笑)。でも、全然スキルが足りないなと思って。卒業後も、どういうサイトが流行っているのか、どういうデザインが使いやすいのかなど、ずっと勉強を続けないといけないなと思いました。

卒業生の一人立ちをサポート!「米子コンテンツ工場」とは?

Q
卒業後は、米子コンテンツ工場に参加されたそうですが、ここではどんなことをされたのでしょう。
A
細田:米子コンテンツ工場では、半年に1冊のペースで「フリーマガジン I+[イット]」という冊子を制作しています。毎号10人前後のメンバーで、企画、営業、取材、制作、発行、配布までやるんですよ。
Q
フリーマガジンとなると、Webデザインとはまた違った紙メディアの編集知識が必要になりますね。
A
細田:そうなんです。Web版( https://it-magazine.info/ )もありますが、紙メディアについては入稿データの作り方から学びました。やっぱりデジハリを卒業しても、最初は「入稿データの作り方がわからない」「ひとりではWebサイトの仕事を受けられない」というハードルがあるんですよね。クライアントと直接話したことがない人のほうが多いですし。なので「I+[イット]」の制作を通じて、マネージャーや先輩と一緒に実地で仕事を学んでいくんです。お客さんとどうやって話をするかというところからチームで経験して、勉強を重ねていって。一から制作の経験を積めるので、今は卒業生には米子コンテンツ工場に参加してもらうようにしています。
Q
「I+[イット]」の制作を通じて、授業とは違う実際の仕事現場を体験できるわけですね。
A
村上:そうです。授業で学ぶのは基本的なベースなので、そこからいきなりお仕事につなげるのは不安ですし。

細田:経験豊富なSTUDIO米子のトレーナーさん、マネージャーさんに、デザインをチェックしていただきながら制作を進めています。フォントのそろえ方、写真配置のバランスなどを見てもらいながら、実践的な力を少しずつつけていくという感じです。

Q
なるほど、制作スタッフの中にはトレーナーやマネージャーもいるんですね。そこにSTUDIO米子を卒業された方が加わっていく。
A
細田:そうです。トレーナーの桂藤さんがまとめ役になっています。卒業生が「I+[イット]」の制作に加わり、何年かデザインの経験を積んだら今度はディレクションにも挑戦して。そうやってみんなで作業を引き継いでいき、デザインやディレクションができる人をだんだん増やしていくという流れです。

村上:メンバーはどんどん入れ替わっていくんですよね。STUDIO米子の卒業生が次々に加わるので、数人は次の号まで残って、あとは卒業していきます。その後も手伝うことはありますが、基本的にはスタジオを卒業した方々が最初のステップとして「I+[イット]」を制作するようになっています。

Q
実際に「I+[イット]」を制作した感想は? 外部のクライアントとお話する機会も増えたのではないかと思いますが。
A
村上:私は2年目なので、どちらかというとまだ制作が多くて。クライアントとの打ち合わせよりも、制作作業に慣れてきたところです。細田さんはディレクション側にまわったので、クライアントと話す機会も多いんですよね。

細田:私はディレクションをするほうが多いですね。お客様のお話から制作物についてに必要なものを聞き取ったり、迷っておられる所は一緒に考えたり、どんな内容していくか打ち合わせをします。

Q
これまでとは違うやりがいがあるのでは?
A
細田:「I+[イット]」を最初に作った時、お客さんと話すのが楽しいなと思ったんです。「I+[イット]」を制作することで、自分が得意な部分、面白いと感じることを見つけるきっかけにもなりました。
Q
制作を通じて、自分の適性も見えてきたんですね。
A
細田:はい。チームでは、自分の得意分野を伸ばすようにしています。個人で仕事を請ける場合は、全部ひとりでやりますが。
Q
米子コンテンツ工場の仕事と並行して、フリーランスでも仕事をされているんですよね。お二人は、これまでどんなお仕事を手掛けてきましたか?
A
細田:チラシ制作やWebサイトの改修などを行なっています。縁があって、ふるさと納税のパンフレット制作もお手伝いしました。STUDIO米子では、年に2回「クリエイティブビジネスマッチング」というイベントを実施しているんです。市内や近隣の企業の方を招待して、STUDIO米子の卒業生の仕事に結びつくようマッチングするイベントです。そこで縁のあった企業から、制作の依頼をいただくこともあります。
Q
そういう機会があるんですね。
A
細田:そうなんです。一人ひとりブースを作って、それまでの制作物や自己紹介を掲示して。そこから仕事につながることもあるので、とてもありがたいですね。
Q
村上さんは卒業してまだ2年目ですが、これまでにどんなお仕事を?
A
村上:チラシのデザインが多いのですが、この前はイチゴの箱をデザインしました。地元の農家さんから相談があり、直接LINEでイチゴをお取り寄せできるようにしたいというお話で。届く時にどんな箱がいいのか相談して、細田さんが描いたイラストを入れました。LINEで発注できるようQRコードも入れています。
Q
二人ともお子さんがいて、自宅で仕事ができるようデジハリで勉強されました。子育てとお仕事の両立はいかがでしょう。
A
細田:在宅ワークをしたいという思いで入学しましたが、実際に自宅で仕事をしたら外で人と会うほうがいいなと思うようになりました(笑)。

村上:わかる(笑)。

細田:下の子も小学校に上がりましたし、ディレクションの仕事も増えてきたので、最近は外に出る仕事が多いですね。週2回はSTUDIO米子で受付の仕事をしているので、作業もスタジオですることが多いです。STUDIO米子なら打ち合わせもできますし便利なんです。

Q
打ち合わせも作業もできるスペースがあるのは、フリーランスにとってありがたい環境ですね。
A
細田:一人で仕事をするのはすごく難しくて。デザインについて相談したいと思っても、メールだとなかなかタイミングが合わなかったり、レスが遅れて作業時間が短くなったりします。それに、デザインのニュアンスは直接話したほうが早いですしね。集まれる時はみんなでスタジオに集まってデザインチェックをしたり、文章を一緒に考えたりしています。そのほうが、仕事もスムーズに進みますね。米子コンテンツ工場も週1回はミーティングするようにしています。

村上:私も週2、3回STUDIO米子の受付をしています。家で仕事をすることもありますが、自宅だとどうしても家のことをしてしまうんですよね。下の子もまだ保育園なので、家にいる時は早めに迎えに行きたいなと思いますし。なので、私もスタジオで仕事をしたほうがはかどりますね。オンオフの切り替えもできます。

個性の強いメンバーが勢ぞろい アットホームなSTUDIO米子

Q
お仕事のやりがい、楽しさを感じるのは、どんな時でしょう。
A
村上:モノができあがる時ですね。デジハリに入るまで制作経験がなかったので、自分にモノが作れるとは思っていませんでした。冊子ができあがったり、パッケージが完成したりするとすごく楽しいです。私が作ったモノが形になり、世に出回っているんだと思うと「おお!」という感動があります。

細田:私の場合、作っている時ももちろん楽しいですが、納品後にブラッシュアップしていくのがもっと楽しいですね。Webサイトはずっと改善していけるので、お客さんと話しながら「もっとこうしたいね」と手を入れて、それによってお問い合せが増えたりすると嬉しいですね。そうなると、「じゃあこんなものを作りましょうか」と次のお仕事にもつながったりするので。お客さんと過ごす時間が長くなると、仕事の面白さを感じます。

Q
逆に、苦労することはありますか?
A
細田:苦労はいっぱいあります(笑)。この業界ってまったく同じケースが無いので、ひとつのお仕事をするには、まずお話を聞いて、見積もりを作って、企画書を詰めて……というのが時間がかかります。実際の制作までにもいくつもステップがあるので、その工程を確実に、しかもスケジュールもあるのでなかなか苦労しています。常に勉強ですね!

村上:私はまだフリーランスになって日が浅いので、見積もりの金額などもよくわからなくて。仕事のスピードも不安定なので、スケジュール感を計るのも大変です。あとは、やっぱりモノを生み出す苦労。Webデザインなら、より使いやすく、より見やすくするにはどうすればいいんだろうといつも悩みます。ただ「こうしたいからこういうデザインにしました」というだけじゃダメなんだなと、今あらためて痛感しているところです。

Q
みなさんでスタジオに集まった時に、他の方の案件について意見交換することもあるのでしょうか。
A
細田:そうですね。スタジオには年齢層の幅広い方が来ているので、制作物のターゲットに合う方に相談することもあります。スタジオでアンケートに答えてもらい、協力していただくことも。STUDIO米子の卒業生は年齢も生活環境も違いますが、フリーランス同士なのでみんなで協力し合うことが多いですね。すごく仕事しやすいです。
Q
お仕事の案件は、都市部に集中することも多いかと思います。米子にいて、不便に感じることはないですか?
A
村上:仕事に関しては、やりにくさを感じることはありません。遠方のクライアントさんとも電話やメールでやりとりできますし。ただ、制作費の相場は県外と米子で違うなと感じることも。その辺りは、まだまだ手探りですね。
Q
今後挑戦したいこと、この場で宣伝しておきたいことは?
A
細田:今後も「I+[イット]」の制作は続けていきます。Webで見ることもできるので、ぜひご覧ください!

村上:「I+[イット]」は自分たちで取材に行き、鳥取県と島根県の一部の情報を掲載しています。そもそも「I+[イット]」は、ただの広告ではなくストーリーのある記事を目指しています。実際に自分たちがいいなと思った場所、地元の人だからこそ見つけられた情報を載せているんです。読んでくださる方を増やし、地元の良さをもっと発信していきたいと思います。Webから問い合わせしていただければ冊子をお送りすることもできるので、まずはぜひWebサイトを見てほしいです。

Q
このインタビューは校友会サイトに掲載されます。校友会活動に期待することはありますか?
A
細田:他校の方と、つながりたいですよね。米子コンテンツ工場に参加しているのはSTUDIO米子の卒業生だけなので、他のスタジオの卒業生とも情報交換したり、一緒に制作できたらうれしいです。お互いにプラスになる交流ができればいいですね。

村上:それをきっかけに県外に取材に行けるかもしれない(笑)。

Q
米子の良いところを紹介してください。
A
村上:地方ですけど、地方すぎないところかな(笑)。

細田:食べ物がおいしい! 山も海も両方あるので、ぜひ遊びに来てください。

Q
最後に、STUDIO米子の良いところは?
A
細田:家みたいですね(笑)。家よりもスタジオのほうが仕事しやすいですし。メンバーは個性強めですが(笑)。

村上:でも、不思議とぶつからないんですよね。

細田:みんなそれぞれ得意分野を持っていますしね。私はコーディングが苦手なんですけど、ほかに得意な人がいたり。スタッフのみなさんもほぼ卒業生なので、ホーム感があります。

村上:マネージャーさんが県外のセミナーにも積極的に参加する方なので、そのつながりで「え、こんな方が!」というクリエイターをライブ授業に連れてきてくれるんです。米子にいながら幅広いことを学べて、とてもうれしいです。

インタビュー:野本由起

フリーランスデザイナー
細田 香織さん(デジタルハリウッドSTUDIO米子卒業)

販売や事務などの仕事を経て、デジタルハリウッドSTUDIO米子に入学。卒業後はデジタルハリウッドSTUDIO米子の卒業生によるクリエイターユニット「米子コンテンツ工場」で、フリーペーパー「I+[イット]」の制作に携わる。並行して、フリーランスのデザイナーとして活動中。

フリーランスデザイナー
村上 祥子さん(デジタルハリウッドSTUDIO米子卒業)

サービス業を経て、デジタルハリウッドSTUDIO米子に入学。細田さん同様、卒業後は「米子コンテンツ工場」に参加。フリーランスとして、Webデザインやパッケージデザインなどの仕事も請け負っている。

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