Interviewインタビュー

No.37

公開日:2021/06/22 

起業のきっかけは単位取得。デジタルハリウッド大学大学院での学びが新しい常識に挑み続けるきっかけに

プロデューサー営業推進部長 デジタルハリウッド大学大学院

No.37

株式会社ミラティブ 営業推進部長
浅枝大志さん(デジタルハリウッド大学大学院修了)

青山学院大学を卒業後、そのままデジタルハリウッド大学大学院の1期生として入学した浅枝大志さん。在学中に起業した後、様々な会社の経営や新しいプロジェクトに携わってきました。大学院での学びは、その後の人生にどのような影響があったのでしょうか。大学院での学びや今のお仕事について、お話を伺いました。
(※このインタビューは2021年6月当時のものです)

大学時代の出会いからデジタルハリウッド大学大学院へ

Q
浅枝さんは大学院の1期生とのことですが、どのようなきっかけで入学されたのでしょうか。
A
入学する前の2004年頃はまだ大学生で、デジタルハリウッドに対しては「スクールがある」くらいの認識しかありませんでした。そんな中、デジタルハリウッドの社長だった藤本さんから「大学院を作ろうと思っている」という話を伺ったことが大学院に興味を持ったきっかけです。藤本真佐さんは同じ青山学院大学出身で、卒業生が多く参加していた「起業家を育てよう」という会の交流会で出会いました。

僕は帰国子女としてアメリカ育ちで、かつ中学生の頃からパソコンが好き。そして大学では会計ゼミに参加していたんです。デジタルハリウッド大学大学院では英語/IT/会計を学ぶことができると聞き、自分の経歴にも一致したことで、興味を持ち大学卒業そのまま大学院入学へ至りました。

Q
現在のお仕事に、デジタルハリウッドでの学びが活きていると思うことがあれば教えてください。
A
当時大学院は、コンテンツを作るディレクターコースとビジネスを考えるプロデューサーコースに分かれており、自分はプロデューサーコースに参加していました。このコースではファンドの作り方やSPAC(特別買収目的会社)などについて学んでいたのですが、正直大学を卒業したばかりの23歳には「わけがわからない」ことばかりでしたね(笑)。ただ、この時にかじっていたことで、のちのちの実践につながる学びがあった気がします。

授業も実践型が中心。藤本さんが担当する起業ゼミに参加していたのですが、起業しないと単位がもらえないというゼミでして(笑)、それで2005年に起業したことが現在までの流れに繋がっていますね。

大学院は2年制ということもあり、ゼミがなくとも1年目で就職活動か起業かを考えることになります。起業ゼミに入ったことが後押しとなって、就職活動ではなく起業の道へ進んだことが、今のキャリアへと繋がっていきました。すごい学校ですよね、いい意味でやんちゃだと思います(笑)。

取り組みに対して「無理」や「ムダ」とは言われない。「変な人が変な人であることをよしとする文化」があるんです。今でもデジタルハリウッドでは、その精神が保たれていると思います。

Q
大学院で過ごした中で、特に印象に残っている「思い出」を聞かせてください。
A
社会人大学院という特性上、同級生が当時新卒だった私よりも全員年上で、20代後半~30歳以上ばかりでした。みなさん、仕事をしてから大学院へ来る人たちばかりで、忙しい中勉強を進める姿は尊敬の的でした。

反面、私は就職せず大学院にいる状態。1日中学校にいたので、学生全員に会えるという立場から、学校の中でもみんなをつなぐハブのような存在に。その関係性の中でみんなの信頼を勝ち取っていくことができました。

思い出に残っている出来事は「デジハリ割引」でしょうか。当時御茶ノ水にあるDH2001ビルの前に、居酒屋があったんですね。毎日のように通っていたので、そこの店長にデジタルハリウッド生なら割引できるよう交渉しました。多分卒業後も数年は使われていたと思います(笑)。

Q
在学中に知り合い卒業後も親交があるご友人や、一緒にお仕事をするような関係のデジタルハリウッド卒業生はいらっしゃいますか?
A
大森清一郎さん(CGデザイナー/アーティスト)ですね。大学院時代に思いついたプロジェクトや起業したときの会社でロゴを作ってもらっています。いつも理想のデザインが上がってくるんです。学生時代だけでなく、今でもデザインをお願いしていますね。

いつか一緒に働きたいと思っているのが、株式会社シロクの取締役をやっている石山貴広さんですね。デジタルハリウッド大学から大学院へ進まれた方です。今もすごく仲良くしているので、いつか働いてみたいですね。

ただ、友だちから売上げを上げるという考え方はしていないので、一緒に働くことはあれど、友人から仕事をもらうということは特になかったと思います。

起業だけじゃない。新しい常識に挑戦し続ける

Q
現在のお仕事で”やりがい”を感じる瞬間は、どんなときですか? また、現在のお仕事の「面白さ」「難しさ」を感じるのはどんなときでしょうか。
A
今は株式会社ミラティブという会社で営業推進部長として勤めています。この会社は、スマホで誰でもライブ配信ができるサービス「Mirrativ」を開発・運営しており、ライブ配信でSNSのようなポジションを目指しているサービスです。

例えば、Twitterを使用していて、フォロワーが20万人いないと楽しくないか?と聞かれたら、そうじゃないですよね。フォロワーが20人でも5人でも十分に楽しむことができます。それと同じ概念で、ゲーム配信も何万人に視聴されることが大事なのではなく、視聴者が数人でも、楽しく配信ができるんです。いつか、ゲームをするときは同時に生配信するということが「普通だよね」と言われる世界を目指しています。このように「文化を産み出す側」として活動できることに、やりがいを感じますね。

ただ「新しい常識」を作るということは、これまでに事例があるものではないので、そこが難しい点ですよね。新しいものを生み出すというのは、「起業する」ことにも通じると感じています。

現在の会社に入社したきっかけは、自分の会社を売却したとき「次やりたいことが今あるわけじゃないな」と思っていたタイミングで。現在の会社の社長と会って「面白そう」と思ったからです。自分の周りにいる人たちを見ると、自分よりも圧倒的に頭のいい人ばかりなんですよね。この人たちを雇える気がしないので、自分が入った方が早そうだ、と思ったのも理由のひとつです。

エンタテインメントは「生活に必要必須なもの」へ

Q
デジタルハリウッドの学校理念「Entertainment. It’s Everything!」について、浅枝さんはどのようにこの言葉を捉えますか?
A
私は、杉山学長の存在そのものがデジタルハリウッドの魂だと感じています。学長を見るといつも「人生楽しんでいるんだ」と思いますし、熱いパワーが感じられる存在です。人生、どんな波があっても楽しむということを体現している存在だと思います。
Q
コロナ禍で、様々なシーンの今が変わりゆくさなかですが、将来エンタテインメントはどのようなものになっていくとお考えですか?
A
エンタテインメントは今後、生活により必要なものだと受け入れられるのではないでしょうか。

ここまで巣ごもり期間があって、みなさん家の中で過ごしてきました。そのとき何をしていたのか?と振り返れば、本を読んだり映画を見たり、ゲームしたりしていたわけですよね。この自粛期間にエンタテインメントがなかったら、苦痛の塊だったと思うんです。つまり、コロナ禍で、エンタテインメントこそが人々を救っているわけですよ。

だからこそ今後、エンタテインメントは生活に欠かせないものになっていくし、仕事で関わる人は、生活に必要なものに対して貢献をしているという認知が広がっていくといいですね。

Q
今後のご自身の展望について教えていただけますか?また新たにどんな「学び」が必要だと思いますか?
A
38歳になり、周りから自分に対して期待されていること、自分でできることに対して、見つめ方が変わってきたと感じています。

これまで「世の中はこうあるべき」という考え方をしていた時期もありますが、今は「今持っているもの」ないしは「自分の中にあるもの」を使って世界に貢献できるやり方は何だろうか、と考えていますね。

最初からそういった考え方をしていればよかったかも知れませんが、10代20代のころって、まだ自分の中が空っぽなんですよね。その頃はがむしゃらにやることが正しかったと思うんです。でも今は、持っている強みをどう活かして効果を出すかという考え方に変わりました。

また、子どもが生まれたりして1日の中で自分に対して割ける時間も若い頃とは変わってきています。「絶対時間」に制限があるんです。

昔は2日間お風呂入らず、ご飯食べずに働いていてもよかったのですが、子どもがいれば、誰がご飯を食べさせるのか、お風呂に入れるのか、という世界になります。それぞれ限られた時間の中でベストを尽くしているんだなということに気づいたので、私もその中で貢献できることは何かと考えています。そのためにも、自分と違う人に会う総量を増やしたいと思っています。

「普通はこうだ」という表現は、日本人率98%の日本という国でしかできないはず。ほかの国では、いろんな人が共存しています。だからこそ、日本と世界の違いを認識して、日本というポジションから世界標準にどう改造・貢献できるかということが、最近意識していることです。

自分の世界を広げなくても、死ぬまで生きていける環境だからこそ、そこにとどまらないようにしたいですね。

Q
Z世代など、デジタルネイティブな若年層たちに期待することはありますか?
A
「おっさんたちの言うことを聞くな」でしょうか。「俺が若いころは……」という発言は、だいたい無視して大丈夫とか(笑)。そう言っている僕自身もおっさんに含まれるのですが……(笑)。

例えば今Facebookを使っているのがおっさんたちといわれているのですが、若い人たちにとっては親世代ですよね。親が使っているプラットフォームには入りたくないと思うんですよ。それぞれの世代によって、当たり前のものも変わってくるんです。

だからこそ、自分自身にとって「普通」と思うことは、疑わずに貫いて欲しいと思いますね。

「君のためを思って言っているんだよ」というのは実はそうじゃないことが多いので、うまく見抜いて潰されないようにして欲しいです。

デジタルハリウッド校友会も時代に合わせた進化を

Q
デジタルハリウッド校友会に期待することは何でしょうか?
A
校友会が30年続くとしても、30年後にFacebookがあるかは分からないですよね。私はないと思っているので、その時々、時代に合わせてそれぞれの世代をつなぐことが可能な仕組みにアップデートしていって欲しいなと考えています。

例えば住所を把握していても引っ越したら郵便物は届かなくなります。メールというツールもいつまであるか分かりません。常に手段をアップデートして、繋がる場を押さえて届けて行くことに期待したいです。

Q
読者である校友会メンバーに向けてメッセージをお願いします。
A
人生を常にロングタームで考えることをおすすめします。そして信用と信頼の積み上げを意識して、デジタルハリウッド卒業生であることだけでお互いを信用できるような組織を目指していきましょう。

機会があれば校友会メンバーともお仕事してみたいですね。ぜひ卒業生のプロフィールが一覧できるヘッドハンティングシステムを作って欲しいです。それだけでも、商売になるんじゃないですかね? 思いつきで言っていますけど(笑

浅枝大志さんが学んだコースはこちら↓↓
デジタルハリウッド大学大学院

株式会社ミラティブ 営業推進部長
浅枝大志さん(デジタルハリウッド大学大学院修了)
青山学院大学経営学部卒業。デジタルハリウッド大学院デジタルコンテンツマネジメント修士。2012年米国デラウェア州に音楽スタートアップBeatrobo Inc.を設立、CEOに就任。事業売却後、AIスタートアップ・スタジオ All Turtles のプロダクトマネージャーを経て、2020年より株式会社ミラティブのシニア・プロデューサーとして参画。事業の傍ら、著名シリコンバレーの起業家の取材通訳・講演同時通訳を務める。米国育ちのバイリンガル。著書に『ウェブ仮想社会「セカンドライフ」: ネットビジネスの新大陸』(アスキー)、翻訳書に『WHO YOU ARE』(日経BP社)、『爆速成長マネジメント』(日経BP社)など。

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