No.102

株式会社サイアメント代表取締役・医師・ サイエンスCGクリエーター
(デジタルハリウッド東京本校 修了)
デジタルハリウッド校友会の根鈴会長が、歴代の卒業生や在学生を続々と訪問!その際に伺ったそれぞれの自分らしい生き方やパーソナルな部分などに焦点を当てて綴ってゆくインタビューの新シリーズ、ぜひご覧ください。
MY NOW
Q.今はどんな仕事をしていますか?

東大病院の医師を務めたのち、サイエンスCGをプロデュースする株式会社サイアメントを起業しました。いまは医療3DCGソフトウェアの研究・開発・販売を行っています。具体的な事例をお伝えすると、CT画像やMRI画像を瞬時に忠実に3DCGとして可視化するソフトウェアの開発に成功。小児心臓の複雑な内部構造を3DCGで観察することで手術方法の変更が可能となったという報告も出ています。この術式変更は一般論として赤ちゃんの寿命を20〜30年延ばせると考えられており、もともとあったCT画像を適切に3D化するだけで命に貢献できることが示唆されます。CGに秘められた可能性を痛感しました。医師免許とCGスキルの両方を持つ者として、臨床現場に役立つ医療CGを今後もつくり続けます。
Q.今後の目標は?

たとえばX線(レントゲン)撮影は、100年前には驚かれましたが今では普通にある技術で話題にもされません。その領域に達しなければ社会実装ができたとは言えないと思うので、リアルタイム医療CGも同じように誰にも驚かれない社会の”当たり前”にすることが目標です。そのために弊社が開発したソフトの価値を医療施設等に地道に紹介していきます。実際の医療現場で役に立つことでのみ普及していきますから、医療面の規制や診療制度の課題に対応しながら、医師が使いたい製品へと引き続き改良を重ねていきます。
Q.瀬尾さんにとって、自分らしく生きるとは?

大多数に何と言われても、自分が正しいと思うことをただやる。それが自分らしく生きることだと考えています。私は総務省の『異能vation』に選出された通称”変な人”の1期生なのですが、同期を見ていると共通点があります。それは自分の理論を立てて根拠を持って行動していること。周囲に理解されにくいだけで、自分勝手に生きているわけではないのです。自分らしく生きるには、膨大な量のインプットと失敗を含む経験の中で何が可能かを理解すること。その上で「だから私はやる」という根拠を持って突き進むことが必要ではないでしょうか。
HISTORY
Q. 入学のきっかけは?
東大在学中にCGソフトを学ぶため
中学校でコンピューター部に所属し、CGプログラミングに取り組んでいたとき、NHKの科学番組『人体III』を観てサイエンスCGの可能性に気づきました。その頃から、将来はテレビ局に就職してCGを活用した科学番組をつくることを夢見ていました。東京大学在学中、ダブルスクールでCGソフトを一通り習得できる学校を探し、デジタルハリウッドを見つけます。深夜でも作業ができ、卒業制作期間が大学の夏休みに重なっていたことが決め手となり、入学を決意しました。
Q. 在学中印象的だったこと
初めて出会った社会人のクラスメイト
多様なクラスメイトに出会えたことが、とても面白かったです。たとえば、水道管工事の仕事をしていてCG業界に転職した方など、東大ではなかなか出会えない社会人の方々に接した経験が一番印象に残っています。CGの本質は数学や物理の塊だと思っていましたが、意外にもクラスメイトの多くは理数系が苦手でした。プログラミングからCGの道に入った私は少数派で、ほとんどの方が数学や物理を経ずに素晴らしい作品を作り上げていることに、衝撃を受けたのを覚えています。
Q3. 卒業直後は?
法医学と出会い、裁判の証拠をCGで制作
卒業直後は東大医学部に在学していました。法医学の教授との出会いをきっかけに、2年後から始まる裁判員制度での3DCG活用を最高検察庁に提案することになりました。2009年には、裁判員裁判第1号となる殺人事件の証拠資料用3DCGを制作。私が作った被害者の傷を表すCGはテレビで全国放送され、科学番組以上に社会へ直接影響を与える医療CGの力を痛感したことを覚えています。その後、東大病院での研修医生活中に、2011年に医療CGソフトウェア・CGコンテンツを制作する株式会社サイアメントを起業しました。
PERSONAL
Q. 人生のバイブル
150%努力してようやく掴みかけるものが夢
書籍からの引用でも誰かの言葉でもなく、自分が2013年にTBS「夢の扉+」で特集された際に自分で言った言葉ですが、いまもこの通りかなと思います。普通の努力では辿り着けないけれども、150%努力したら何とか近付けそうなことを目標にして日々過ごすことで、失速することなく走り続けられるのではないかと考えています。
Q. 私の趣味
Work as Life?
子どもの頃から3DCGが好きでそのまま大人になり、大学での専攻である医学と3DCGとを掛け合わせた医療CGで仕事を今でも出来ていることこそが幸せで、仕事が人生そのものであり最高の趣味ではないかなと思います。
Q3. Myルーティン
しっかり寝る
高校生のときよりも研修医として病院で働いていた時よりもしっかり寝ていると思います。睡眠時間を削って仕事にまわすほうがスピード感が出る…と思いきや、おそらくしっかり寝るほうが頭の回転が速く、結局最も良いパフォーマンスが出るのではないかと思います。