No.18
スギノ.アート代表取締役
福田 かおりさん(デジタルハリウッド大学卒業)
バンダイナムコエンターテインメント
稲益 彩香さん(デジタルハリウッド大学卒業)
このインタビューは2019年6月当時の内容です。
デジハリ大で過ごした日々は、人生で一番楽しい4年間
- Q
- 福田さんはデジタルハリウッド大学1期生、稲益さんは2期生だそうです。現在はどんなお仕事をされているのでしょうか。
- A
- 福田:バックオフィスのマネジメントを行なう会社を運営しています。デジハリ大の在学中からゲーム会社で社長秘書をしていたのですが、入社した時は小さい会社だったので総務、人事、採用すべてを担当していました。その経験を活かして去年立ち上げたのが、今の会社です。最近はオフィスを構えずに仕事をする人も増えていますが、たとえオフィスは存在しなくても事務仕事は発生しますよね。それを代わりに請け負ったり、効率化するためのアドバイスをしたりしています。
稲益:去年の春に「自分の会社を立ち上げるか悩んでるんだけど」って相談されたんですけど、夏になったらもう起業してましたよね(笑)。行動がすごく早いんですよ。
- Q
- 稲益さんは、新卒でバンダイナムコゲームス(現・バンダイナムコエンターテインメント)に入社されたんですよね。
- A
- 稲益:はい!入社後はゲームは色々な人、例えば作る人、売る人、生産する人、プロモーションする人など、いろいろな分野の方をつなぐプロダクトマネージャーとして働いてました。要は、アシスタントプロデューサーのような位置づけですね。最初は家庭用ゲーム、次にアーケードゲームを担当し、その後「VR ZONE」などの店舗の立ち上げにも関わるようになりました。その頃ちょうど社名が変わったので、ゲームに限らず面白いことができたらいいなと思って新規事業部に異動したんです。そこでテーマパークのボイスアトラクションを作ったり、バーチャル広告代理店プロジェクト「城崎広告」に携わったりしました。バーチャル広告代理店では、デジハリ大もPRしたんですよ。杉山学長をイケメンの2次元キャラにして、イケメンキャラとコラボしました。今年からは会社全体のブランディング活動を行うコーポレートコミュニケーションの部署で働いています。
- Q
- お仕事でのやりがいは?
- A
- 福田:「ありがとうございます。本当に助かりました」とお礼を言っていただくことが多いので、それはすごくうれしいですね。
稲益:福田さんのお仕事は本当にピンチの時に必要な仕事ですもんね。私も福田さんと近いものがあって、自分が作ったもの、仕掛けたことがお客様に届き、喜んでいただいている瞬間に触れるのが一番のやりがいです。
- Q
- お二人は入学年度が違いますが、在学中から仲が良かったそうですね。1期生と2期生は交流が深かったのでしょうか。
- A
- 稲益:そうですね。私たちは、大学在学中からフリーペーパーやWeb制作といった制作受託のアルバイトやインターンなどに取り組む事が多かったんですが、そういったプロジェクトに1期生、2期生が一緒になって取り組む事も多かったので、交流が深かったんです。
福田:社会人になってからも、仕事のつながりがあるよね。稲益の今の仕事も、ひょんなことからご一緒させていただいて。直接頼まれたわけではなく、気づいたら「あれ? ここ、稲益の会社じゃん?」って(笑)。
- Q
- 業界は違っても、デジハリの同窓生でつながることは多いのでしょうか。
- A
- 稲益:そうですね。ものづくりって、どこかでリンクしているので。Webサイトの制作やデザインなどを行なう時、ぱっと当時の仲間に声をかけてみることも多いですね。
- Q
- そもそもお二人は、なぜデジハリ大学に入学したのでしょうか。特に1期生として入学するのは、勇気がいったのではないかと思いますが。
- A
- 福田:私はCGに興味があって、当時のバイト先の友達に「CGってどうやって作るの?」と聞いたりしていたんです。その友達がデジハリのスクールを知っていて、「今度デジハリに大学ができるから入ろうと思うんだ」と言ったので「じゃ、私も行こうかな」って(笑)。しかも1期生っていいなと思ったんです。楽しそうじゃないですか
- Q
- 意外と軽いノリだったんですね(笑)。
- A
- 福田:当時はまだ学校説明会もなくて。ダイビルのキャンパスもオープンしていなかったので、御茶ノ水のスクール校舎の非常階段から「あのビルです」って説明されたのを覚えています(笑)。
- Q
- 稲益さんはいかがでしょう。
- A
- 稲益:私はごく普通の高校生で、進路を考えた時にやりたいことが何も見つからなかったんです。小学生の頃からWebサイトを作ったり、ブログを書いたりしてずっとインターネットに触れていましたが、それを仕事にする手段もわからなくて。そんな中、いろいろな大学の資料請求をしていたら、デジハリ大のパンフレットが本当に面白かったんです。「Webサイトで仕事をするってこういうことか!」ってわかりましたし、海外に技術留学できることにも魅力を感じました。まだできたばかりの大学なので不安もありましたが、せっかくなので「一番振れ幅が大きいところに行くか!」って。そこでオープンキャンパスに行き、話を聞いて一目惚れして。AO入試だったので、夏には入学を決めていました。
- Q
- どんな大学時代を過ごしましたか?
- A
- 稲益:めちゃくちゃでしたよね(笑)。
福田:すっごく楽しかったです。人生で一番楽しい4年間でした。まだ人生、終わってないけど(笑)。
稲益:お世辞抜きで、授業が本当に楽しかったですよね。プロジェクトにもいろいろ参加しました。
福田:人間関係も密だったよね。
稲益:1年目は特に1期生と2期生、あわせて400人くらいしかいなかったので。
福田:共通の授業も多かったしね。
- Q
- 特に印象に残っている授業は?
- A
- 福田:橋本大也先生の「リサーチ&プランニング」です。当時はGoogle検索が出たばかりだったので、検索エンジンの移り変わりや検索の仕方を教えていただきました。
稲益:去年デジハリ大を卒業して我々10周年を迎えたので、「もう一度授業を聞きたいよね」ということで校友会の企画の一環として、福田さん主催で橋本先生に特別授業をしてもらいました。
福田:橋本先生の授業では、「合コンゴレンジャー理論」も印象的でした(笑)。
稲益:合コンでは、自然とリーダータイプ、気遣いタイプと役割が分かれますよね。「モテるためにはこの役割を取れ!」という理論を、ゴレンジャーに例えて解説してくれるんです。本当に面白くて、10年経った今でも覚えています。
福田:先生がたの個性が衝撃的でしたよね。杉山学長の言葉も覚えています。
稲益:学長がこんなに気さくな大学って他にないですよね。今も昔もキャンパス内でフラッとその辺にいらっしゃる(笑)。
福田:何年たっても、普通に声かけてくださるんですよね。しかも、私のことを覚えてくれていて。他大学の卒業生にその話をするとびっくりされます。
校友会を通じて、デジハリ大卒業生・在校生の輪を広げたい
- Q
- お二人は校友会の理事もされているそうですね。
- A
- 福田:宮坂さんという大学院の先輩が子ども向けのプログラミング教室をされていて、私達二人ともその活動を手伝っていたんですよね。当時はサークル活動みたいな感じで。今もデジハリを通じてその活動を続けているので、それがご縁でデジハリ事務局の楢木野さんに声をかけていただきました。私たちは入学当初から楢木野さんに本当にお世話になっているので、楢木野さんに言われたら断るなんて選択肢はないんです!
稲益:今まで大学の卒業生で校友会理事になった人がいないということもあって、声をかけていただいたんですよね。
- Q
- 校友会理事として、大学の同窓会も開催されたそうですね。
- A
- 稲益:今年3月、1期生卒業10周年を記念して同窓会を開催しました。そもそも私たち自身も、校友会の存在を知らなかったんですよね。認知度を高めるためにも、まずは大学の在校生・卒業生に向けた活動をしていきたいと思ったんです。そこで卒業生が戻ってきやすい環境を作るための第一歩として、同窓会を企画しました。
福田:デジハリ全体のイベントが開催されていることは知っていましたが、スクール中心のイメージがあったので大学卒業生としては参加しづらかったんですよね。
稲益:そこで今回は、あえて「大学1期生、2期生の同窓会パーティですよ」とお伝えしました。もちろん幅広い方々にご参加いただきたいと思っていますが、メインとなるのは1期生、というのをあえて伝えました。最初は反応がなかったので人が集まるか心配でしたが、結果的に200人近く集まりました。卒業式を行なったダイビルで開催したのも懐かしかったし、卒業以来会っていない人にも再会することができました。
福田:本当に感動しました!
- Q
- 同窓会では、どんなことをされたのでしょう。
- A
- 福田:楢木野さんをはじめとする事務局の方々に当時を振り返るトークをしてもらったり、学長に未来について語っていただいたりしました。
稲益:当時の学生の映像作品を流したり、写真をたくさん展示したり。手作り感あふれる同窓会でしたね。
- Q
- 今後も続けていくのでしょうか。
- A
- 稲益:1回で終わらせてはいけないと思っています。来年は2期生が卒業して10周年なので、「2期生集まれ」バージョンの同窓会を開きたいと思っています。これが毎年の伝統になるといいですよね。卒業生のコミュニティを活性化したうえで、在校生ともつながりを深めていきたいです。
福田:校友会でやりたいことを、理事会で企画提案したんです。例えば、在学生の卒業制作に対するパトロン活動という案。学生は制作費を捻出するのも大変ですが、卒業から10年経った今なら少しくらいなら後輩にお金を出してあげられるかなと思うんです。校友会を通じて、そういった活動を支援できたらいいなと思っています。
稲益:それで卒業制作の質が上がれば、業界全体にもプラスになりますよね。
福田:デジハリ大の卒業生を、優先的に採用する仕組みも作れたらいいですよね。校友会を通して大学生と触れ合う機会を作れば、いい意味で青田買いもできそうです。
稲益:卒業生にも、どんどん大学に戻ってきてほしいんです。橋本大也先生の授業を行なったのも、卒業生が足を運んでくれるのではないかと期待してのこと。あと何より私自身が今の知性で、もう一回授業を受けたいという気持ちもありましたが(笑)。
- Q
- まだ校友会のことを知らない人、自分には関係ないと思っている人に向けて、アピールしていただけますか?
- A
- 稲益:継続的に交流の場を設けることで、在学中だけでなく卒業後も楽しんでいただきたいんです。それによって、業界全体にデジハリブランドが浸透するような仕組みを作れたらいいなと思っています。それには、より多くの人に参加していただくことが大前提。校友会のメリットを増やして、どんどん大学に戻ってきてほしいですね。
福田:大学のラウンジを自由に使えるようにするとかね。私たちの代はまだ秋葉原にキャンパスがあったので、御茶ノ水はアウェイなんです。Wi-Fiも使えますし、「ここに来れば誰かいる」という環境を作りたいです。
稲益:在学中もラウンジで課題をやっていると、先輩から「デザインできるの? ちょっと仕事しない?」と声をかけられましたよね。社会人になってからも、そういうつながりがあれば楽しいと思うんです。まずは1期生、2期生で実績を作り、それを文化にしていきたい。校友会をうまく利用して「こんなこともできる!」というアイデアを発信できたらと思います。
- Q
- 今期に入り、校友会の活動も活発化していますよね。
- A
- 稲益:今までは他人事でしたが、いろいろなきっかけで自分事になると校友会が愛しくなってきます(笑)。まずは大学生をつなぐ活動をして、そこからスクールや大学院へと輪を広げていきたいです。
福田:私たちが役員になったことで、「かおりさんが理事をやっているなら私も校友会に入ろうかな」という人も。実は「校友会に入る」もなにも、大学卒業生はみんな校友会員なんですけどね(笑)。認知度を高めるためにも、いろいろな方法で発信を続けていきたいです。
- Q
- 本業のお仕事の目標、野望は?
- A
- 稲益:コンテンツ業界はまだ男性が多いので、女性のロールモデルが少ないんですよね。折角女子なので、自分のライフプランをどうするか考え、それをものづくりに携わる後輩たちに伝えられたらいいなと思っています。そう言うと「年を取ったな」って感じですけど(笑)。
福田:私はコンテンツに関わる仕事をしたいと考えています。会社を安定させるという目標もありますが、せっかくデジハリ大を卒業したので。
稲益:デジハリ大の卒業生と話をすると、アイデアがいくらでも膨らんで止まらないんですよね。しかも、みんな行動力があるから本当にできそうな気がする。
福田:デジハリに来ると元気が出るよね。だから私、オフィスも御茶ノ水校の近所に借りたんです(笑)。校友会理事になって、デジハリとまたかかわりを持てたのがうれしいですね。
稲益:デジハリに来ると刺激を受けるし、やる気をもらえるんです。同窓会で久しぶりに再会した仲間も、本当に多くの方々がいろんな分野の最前線で活躍していますよね。
福田:ものづくりにかかわっている人はもちろん、海外に住んでいる人、お笑い芸人になった人もいて。普通に就職した人も、それはそれで面白いんですよね。いろんな道があるんだなと思いました。デジハリ大で勉強してきた人は、動画もWebも映像編集もできるので重宝がられますしね。
稲益:デジハリで学んだことは、どんなことに対しても「まぁやってみるか」と思う気持ちかも。
福田:あとは「なんとかなる」(笑)。10年前に学んだ技術は古くて使えなくなったかもしれませんが、心意気は今も生きています。多分、一生残るんじゃないでしょうか。
インタビュー:野本由起
スギノ.アート代表取締役
福田 かおりさん(デジタルハリウッド大学卒業)
デジタルハリウッド大学1期生。在学中から仕事を始め、ゲーム会社で社長秘書として総務、人事、採用などを担当。その後独立し、バックオフィスをマネジメントする会社を設立。大学の同期生からは、”女帝”の愛称で親しまれている。
バンダイナムコエンターテインメント
稲益 彩香さん(デジタルハリウッド大学卒業)
デジタルハリウッド大学2期生。コンシューマゲームやアーケードゲームのプロダクトマネージャーを経て、新規事業部へ。バーチャル広告代理店プロジェクト「城崎広告」の立ち上げ・運営に携わる。現在はコーポレートブランディングを行なう部署で活躍中。