Interviewインタビュー

No.33

公開日:2021/04/02 

「運命の出合いで世界が変わった」 デザインを通じてユーザーと対話する仕事術

ゲームUI/UXデザイナー デジタルハリウッド大学

No.33

ゲームUI/UXデザイナー
八木たな奈さん
(デジタルハリウッド大学卒業)

「運命を感じた」と、大学入学時を振り返って語るのは、グリー株式会社でソーシャルゲーム『探検ドリランド』のアートディレクションを経て、現在はユーザーインターフェース制作に携わる八木たな奈さん。「毎日が学園祭のよう」と表現するほど学生時代は学内外でさまざまな刺激を受け、大学理念からの学びは、現在のエンターテインメントの仕事にも大きな影響を与えているという。そんな学生時代のお話から、現在の仕事におけるコミュニケーション術までを語っていただきました。
(※このインタビューは、2021年2月当時の内容です。)

「運命を感じた」デジタルハリウッド大学との“出合い”

Q
八木さんは2005年にデジタルハリウッド大学の第1期生として入学されました。進学先として選ばれた理由を教えて下さい。
A
子どもの頃から絵を描くのが好きで、中学時代からパソコンでお絵かきをしてホームページで発表をしたりしていました。高校時代には「パソコン甲子園」というCGのコンクールに出場し、大学でも引き続きクリエイティブなことに携わりたいと思ったので、美術系の大学の中でも、できるだけ幅広い間口を持っているデジタルに強い学校を探していたんです。また、「パソコン甲子園」に一緒に出場した先輩が、学生時代からプロとしてクリエイティブな案件の仕事もこなしていたので、私も在学中から仕事をしたいと考え、フットワーク軽く動ける都会のキャンパスであることも重要でした。それに見合う大学を探していたところ、通っていた予備校の隣にあって名前を覚えていた「デジタルハリウッド」が大学を新設すると知り興味を持って見学に行きました。IT・英語・クリエイティブをカリキュラムの3本柱として、デザイナー志望でも映像やマーケティングの勉強ができるというコースに縛られない「間口の広さ」は、まさに私が望んでいたことでしたし、実務家の先生が多くいらっしゃって教える予定だということも魅力に感じました。あまりに私の希望通りの大学であったことに、「もう、ここに入学するのは運命だ」と感じ、入学しました。
Q
入学されてからはどんな講義を受けていましたか?
A
私の場合は興味のある授業を片っ端から取っていました。「タイポグラフィ」、「2Dグラフィック演習」、「色彩論」、「美術史」、「デザイン史」のほか、デッサンもしましたし、選択必修では著作権の授業も取っていました。南雲治嘉先生の「発想概論」は当時から学生の間で名物授業でしたね。あとはWebプロデュース系の授業や、映像撮影・編集の授業も取っていました。デザイン系ではありませんが、文章にも興味があったので「日本語文章表現」も取っていました。そもそもデジタルハリウッドを志望したのは、専門分野を絞らずにさまざまな授業を受けられることが理由だったので、授業一つ一つがとても刺激的でした。
Q
学生時代に特に印象に残っている思い出は何ですか?
A
ありがたいことに在学中からOJTの形で、さまざまな企業のデザイン案件を担当したり、TVドラマや映画の公式サイト制作に携わったりすることができて、当初の希望が叶ってとても嬉しかったことを覚えています。私が2年生の2006年に、デジタルハリウッド大学院が御茶ノ水から秋葉原のキャンパスに移ったことで、大学院生との交流も生まれました。ゲームクリエイターの飯田和敏先生が大学院でゼミを持っていて、そこに参加して合宿でノベルゲームを作ったのも良い思い出です。あとは1期生だったこともあり、サークルや学園祭を1から立ち上げることができたのもスタートアップの経験になりました。当時の秋葉原のキャンパスは現在のキャンパスに比べてかなり狭かったので、制約のなかでいかに楽しいものを作り上げるかの体験的学習にもなりました。そのときの状況を見て自分で判断し、最適解を考えて行動に移し、省みて次のアクションに移すというサイクルを回すことで、4年の間で学園祭も段々と良いものになっていったのではないかと思います。学生時代は同級生や先生から刺激を受けることばかりで、毎日が学園祭のような日々。大学入学前後で、確実に世界が変わりましたね。

インターフェースやデザインもユーザーとのコミュニケーション

Q
現在、八木さんはグリー株式会社で「探検ドリランド」の運営に携わられているとのことですが、具体的にはどのようなお仕事をされていますか?
A
4年半ほど、開発チームでデザインチームのリーダーであるアートディレクターを担当していました。ここではゲームのデザインのクオリティ維持や管理業務のほか、ファンミーティングといったイベント開催の運営も行なっていました。企画から当日の進行やグッズ開発まで、まさに学園祭委員のような仕事もありました。現在はUI(ユーザーインターフェース)デザインを担当しています。『探検ドリランド』は、運営がスタートしてから今年で13周年を迎える歴史を持つゲームで、スマートフォン以前からプレイされているユーザーの方が多くいらっしゃいます。会社としてはこの先も長期間愛されるタイトルにしたい思いがあり、既存のさまざまな機能をUI方面からアップデートしていく施策を行っています。ユーザーの方に長い期間楽しんでいただいているということは、プレイスタイルや使われている機種が多彩だということでもあります。そのための最適解はどういったデザインにすればよいか、知恵を絞っています。
Q
八木さんが現在のお仕事の「面白さ」と「難しさ」を感じるのはどんなときでしょうか。
A
コミュニケーションがやっぱり肝ですね。開発する上では、プランナーやエンジニアといったデザイナー以外の職種の方とも作り上げていきます。そこでの言語や考え方の違いを調整したり、相手の意図を汲み取ってこちらの考えを分かりやすく伝えたりしなければなりません。コミュニケーションは対人だけではなく、デザインもまたコミュニケーションだと私は考えます。どんな問題が起きてどのように解決すればよいかを徹底的に考えるところまでは同じで、そのアウトプットの手法がデザインの形であるか、それともマネジメントの形であるかの違い。そして、ユーザーさんとの関係では、それぞれの遊び方をすべて受け止めて使いやすい動線を作るという、運営側との橋渡しをして最大公約の最適解を目指すのがUIデザインの難しさであり、面白さであると考えます。
Q
八木さんがお仕事の中でやり甲斐を覚えるのはどんなときでしょうか?
A
やはり、ユーザーさんの反応を感じるときですね。非常に多くの方に遊んでいただいているタイトルですので、SNSに投稿されるキャラクターやイベントの感想を読んだり、リアルイベントで実際に反応を目にできるのも嬉しいです。またビジネス面でいえば、デザインの効果が実際に数字として表れることに達成感を覚えます。
Q
大学理念に“Entertainment. Itʼs Everything!”(「すべてをエンタテインメントに」)というものがありますが、ゲームやグッズなど、さまざまな媒体を通してエンターテインメントを提供するお仕事をしている八木さんにとって、どんなことが重要だと考えますか?
A
エンタテインメントは押し付けになってはいけないと考えます。それを届ける先が世の中である以上、作り手もその流れについていく必要がある。「すべてをエンタテインメントに」という理念を聞いたときにそう思いましたし、今の私の生活にも息づいています。自分の得意な分野で尖った個性を出すのは大事なことではありますが、まず世間の大多数の人がどのような感覚を抱くのかをリサーチし理解した上で、ターゲットにフォーカスすると、さらに深い考察ができると思います。これもデジタルハリウッドでの授業で学んだことでした。
Q
八木さんは優秀な卒業制作作品を表彰する「DIGITAL FRONTIER GRAND PRIX」で審査員を務められていましたが、卒業後も大学との繋がりが深いようですね。
A
ここ4年ほど審査員を担当させていただいていますが、私にとっても学びの場になっています。卒業して10数年経つと、現役の学部生さんが作ったものを見る機会は少なくなります。それは私の目指す一般的な感覚を知る上で重要なことですので、可能な限りお引き受けしています。発見が多いイベントですので、ぜひOGOBの皆さんにも受賞作品を見ていただきたいと思いますね。また南雲先生のゼミの審査員を担当していた際には、多国籍の学部生の幅広い創作物を見ることができ、こちらも得るものが多い機会となりました。プライベートでは、卒業した仲間達と SNSで日々交流しているほか、サークルの仲間と夏に集まってバーベキューをするなどして楽しんでいます。卒業後も繋がりは続いていますね。
Q
デジタルハリウッドの現役の学部生や卒業生、関係者など、インタビューを読んでいる読者に向けてメッセージをお願いいたします。
A
この記事をお読みになっているということは、卒業後も比較的デジタルハリウッドとの関わりが深い方が多いかと思います。よく言われることですが、学生時代の人脈は損得なしの一生モノの関係性だと思いますので、その関わりをもっともっと大事にしてほしいなと思います。卒業後にちょっと離れている方がいたら一度連絡を取ってみると、今の時代はSNSを通じて芋づる式に繋がれると思いますし、そうした同級生との関係性は特に大事にしてほしいなと思います。facebookにはデジタルハリウッド校友会グループがありますので、まだの方は是非参加していただいて、そこから新たなコラボレーションを生みだしていただけたらと思います!

八木たな奈さんが学んだのはこちら↓↓
デジタルハリウッド大学デジタルコミュニケーション学部デジタルコンテンツ学科

ゲームUI/UXデザイナー
八木たな奈(デジタルハリウッド大学卒業)
大学在学中のOJT参加作品にOVA『東京マーブルチョコレート』公式サイト、TVドラマ『美味學院』公式サイト(一部制作)など。大学を卒業後、DTPデザイナーやUI/UXデザイナーを経て、2015年、ソーシャルゲーム『探検ドリランド』の4代目アートディレクターに就任。主にゲームUI・イラスト・アニメーションなどのディレクションを担当した。また、画面内のコンテンツだけに留まらずイベント運営やグッズ制作なども積極的に行った。現在はUI/UXデザイナーとして、ユーザー体験やサービスの改善に注力している。

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