No.32
お笑い芸人/タレント
島山ノブヨシさん(デジタルハリウッド大学卒業)
さまざまなエンタテインメント業界に多様な人材を輩出するデジタルハリウッド。2005年に大学の第1期生として入学したのは、のちにお笑い芸人として活躍することになる島山ノブヨシさん。在学中には映像制作や留学などを経験し、それがさまざまな形で現在の仕事に活きているといいます。1期生が切磋琢磨する中で培われた学生時代の様子と、現在のエンタテインメント精神を育む上で大きな影響を受けた授業の様子について語っていただきました。
(※このインタビューは、2021年1月当時の内容です。)
1期生独特の仲間意識と創作への影響
- Q
- 島山さんは2005年にデジタルハリウッド大学の第1期生として入学されました。進学先として選ばれた理由を教えて下さい。
- A
- 高校生の頃、僕は芸人かバラエティ番組の制作の道を考えていたので、演技やメディアの勉強ができる大学を探していたところ、通っていた予備校の指導担当の方がデジタルハリウッド大学をすすめてくれたのがきっかけです。ITと英語とクリエイティブの教育を掲げていたり、放送作家のおちまさとさんや楽天の三木谷浩史社長が特別講師に名を連ねていたり、他にも実写映画やCG、ウェブデザインといったクリエイティブな分野のさまざまな勉強ができたりということが募集要項に書かれていて、興味を惹かれて受験しました。実は他にも受かった大学があったのですが、最後の決め手となったのは、入学式がロサンゼルスだったことです(笑)。「面白いことをやってくれる大学なんだ!」と、好奇心が刺激されて入学を決めました。
- Q
- 入学されてからはどんな講義を受けていましたか?
- A
- さまざまな授業がありましたが、僕は実写方面の授業を中心に受けていました。カメラ撮影や編集の講義、Webメディア系の座学やIllustratorやPhotoshopを使うグラフィックデザインの講義なども受けていました。今でもネタ作りの際のアイディア出しやメソッドとかで役立っているのが、南雲治嘉先生の「発想概論」ですね。あとは、服装は3色でコーディネイトするといいと教えてもらった「色彩論」も勉強になりました。映像以外にも、興味を持った授業や自分のためになりそうな授業は片っ端から受けていましたね。
- Q
- 周りの同級生はどんな学生でしたか?
- A
- 入学当時から積極的で、みんな自主制作映像を撮り出していましたね。僕もそれに乗っかって作品に出演したり、裏方としてカメラを回したり照明のアシスタントをしたり、編集や制作進行といったこともそのときどきで担当していました。あと、僕らより5~6歳上の社会人入学をされていた方も同級生にいて、その人たちのグループからの影響が大きかったですね。入学式から帰ってきて1ヶ月ぐらいでスポンサーを集めて映像を作ったり、お披露目イベントをやったり、中には学校での活動を仕事に繋げた方もいました。それを見て僕らも刺激され、映像作品の制作をしたり、Webデザインをやったり、CGをやったりと各々が震源地になっていった感じでした。その頃のキャンパスは秋葉原のダイビルの7階の1フロアだけだったのですが、当時のパソコンルームだけオールナイトで開放してくれていて。一晩中自由に作業をすることができたんです。そこで飲み食いしながら、みんなで笑ったり語りあったりしながら作業していました。もの作りの環境が非常に充実していましたね! 1学年で2〜300人の学生がいたと思いますが、話したことはなくても、だいたいの学生はどんな特徴を持っているかを知っているくらい、第1期生は仲間意識が強いですね。先輩も後輩もいなかったので、すべてのことを自分たちでやらなくてはいけないという濃密な1年間を共に経験してきたからだと思います。
- Q
- 3年生のときには留学もされたそうですね。そのときの様子を教えて下さい。
- A
- 留学先では寮住まいで、ルームメイトのトルコから来た方は英語しか喋れなかったので日常会話を英語でしたり、日記を英語で書いたりしていたりしました。すると、あんなに苦手だった英語も 3ヶ月くらいすると慣れてきて、すっかり身についていったんです。日常生活も授業も楽しくて、7ヶ月間でホームシックになったことは一度もありませんでしたね! アクシデントもありましたが、見るものや体験することがすべて新鮮で楽しくて、授業は「自分の企画を通すためにはどうしたらいいか」みたいなプレゼンテーションの方法だったり、ソニーのスタジオ見学をしたり、NBAを見たりピストバイクで通学したりと、まさに映画で見るようなアメリカ生活で、エンタテインメントの世界で生きるということへの参考になりました。さらにありがたかったのは、この留学のときの単位がそのままデジタルハリウッド大学に認められたことです。おかげで次の4月からは無事に4年生になることができました。
- Q
- 4年生のときには映画系のゼミを受講されたとのことですが、どんな内容でしたか?
- A
- 映画に関する授業は1年生の頃から「映画表現史」などを受講していました。自分が出演する立場になるうえでは、映画の歴史、カメラ側からの視点で表現の方法を知っておきたかったことがありました。内容もとても面白くて、映画の画角の話からストーリーの表現の仕方、撮影方法など、実写だけではなくマンガや他のメディアのエンタテインメントからも学んで吸収できるということを教えてもらいましたね。『北斗の拳』のマンガのコマ割りから学ぶカメラワークの話なんて、目からウロコでした! 4年のゼミのときは6人で、それもみんな入学当初から一緒に自主制作をしてきた仲間でした。僕は卒業制作作品では助監督と会計を担当しました。後輩や他のゼミの人も助けてくれて、本当にありがたかったですね。先程も話したように、1期生は絆が固いんですよ! あのとき助けてもらったから、今度はこっちが力を貸すといったふうに、助け合える。ゼミ制作というよりも、みんなで撮ったみたいな感じですね! だから、今でも付き合いがあるんです。仕事を頼みたいと思ったときも、パッと誰が何を得意だったかを思いつきますし、実際にお願いしたりもします。昨年も男8人で車に乗ってキャンプに行ったんですよ。そこで映画の話をしたり、仕事で一緒に何かやろうよって話をしたりと、学生当時の飲み会と変わりませんね(笑)。
大学時代の仲間と文化祭を開催したい
- Q
- お笑い芸人として活動されるなかで、デジタルハリウッド大学での経験が活きたと思う事柄は何ですか?
- A
- 「発想概論」など授業のこともそうですが、芸人って、良いことも悪いことも全部笑いに変える仕事なので、学生時代のエピソードは何でも活きていますね。大学時代のエピソードトークでも盛り上がります。最近では収録現場でカメラを回しているのが後輩であることもあります。
杉山学長は当時から
「Entertainment. It’s Everything!」という大学理念をおっしゃっていました。まさにそのとおりだと思います。デジタルハリウッド大学で学んだことがすべてエンタテインメントに昇華されていますし、本当にさまざまな体験をさせていただきました。
- Q
- 先程、卒業しても同期の方とは今でも仲良しとのお話がありましたが、先生方との交流はいかがでしょうか?
- A
- ゼミの先生はすでに退職をされましたが、SNSで連絡したりお誕生日にメッセージを送ったりしています。事務局の職員の方は今でもお仕事をされているのでコンタクトを取りやすいですね。僕が出演する番組の情報を拡散してくれていますし、在学当時はワガママを言って大変ご迷惑をおかけしたにもかかわらず、応援してくれています。ずっとお世話になっていた楢木野さんという方が齊藤先生とご結婚をされたときには、僕らの同期で集まって短編映像を作ってプレゼントをしましたよ! その時点で持っているプロとしての技術で、ガチの余興を見せようと。そういうアクションを含めて卒業しても大学での4年間がずっと続いている感じがありますね。
- Q
- エンタテインメントを仕事にする上での面白さと難しさについて、島山さんはどのようにお考えですか?
- A
- 僕の考えでは、人を楽しませるにはまず自分が楽しんで、それをみんなに広めていくということがエンタテインメントだと思います。そのためにはプレゼンの能力が必要で、「これってこんなに面白いんだよ」と伝えていくスキルも大事です。
- Q
- 島山さんの夢と目標について教えて下さい。
- A
- 大学時代の仲間と何か大きな仕事、たとえば年に一度の文化祭みたいなプロジェクトができればと思います。そこから、どんどん輪を広げていけるようなお仕事をしたいですね。芸人として知名度を上げて影響力を伴って、早く恩返ししたいなと思っています。
- Q
- 現役の学生へメッセージをいただけますか?
- A
- まず、第1期生からすると羨ましいことだらけだよ!と言いたい(笑)。御茶ノ水のソラシティに校舎が移って、フロアも倍増して機材もより良いものがあるし、学食だってあります。あとはもう、能動的に動けば周りには同志が集まってきます。今はひとりで作れるような環境もありますが、やっぱり大勢で作って困難を乗り越えたときの達成感は格別であると、僕は自主制作やゼミでの経験を通じて知りました。そうしたことを通じて周りに影響を与えあうことは、他人を楽しませるエンタテインメント作りにおいて、とても重要です。授業を選んだり受けたりするときも、これが何に生きるかを想像しながら行動することが、楽しむ秘訣の一つかなと思います。頑張って、自分の目指す仕事や将来の夢をデジタルハリウッド大学で叶えていただければと思います。
- Q
- デジタルハリウッド卒業生、校友会の方々へメッセージをお願いします。
- A
- これは留学した際に教わったことですが、スモールトークという「本題に入る前の助走の話」という技術があります。たとえば「その服いいね、どこで買ったの?」とか「今日めちゃくちゃ天気いいよね」とか、助走を切り出してから本題に入るという手法です。その意味では「デジタルハリウッド」を卒業している時点で助走ができているんですよね。在学中のコミュニティの強さだったり、卒業生がITだったり、メディアだったり、CG/VFX業界のいろんなところで活躍しているので、デジタルハリウッド出身と言うだけで一つ話題の種になる。それってスゴいことだと思うんですよね。こういった素晴らしい校友会をきっかけに、知らなかった方ともお仕事の幅を広げていただけると、お世話になった事務局や先生たちも喜んでくれるのではないかなと思います!
島山ノブヨシさんが学んだのはこちら↓↓
デジタルハリウッド大学
お笑い芸人/タレント
島山ノブヨシさん(デジタルハリウッド大学卒業)
神奈川県出身。1986年8月11日生まれ。デジタルハリウッド大学1期生。CX「ものまね紅白歌合戦」などバラエティ番組に出演し、”藤原軍団”や”ノブとカカズ”というコンビでも活動中。